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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
問題は、場が砕けて来て、正式な茶会から徐々に外れ出した所から起こり始めました。
会話しながらお茶と軽食を楽しみ、そろそろ夕刻が近づいて来た頃、奥方様がふと思いついたように言いました。

「スグリ様は、果物のお酒を嗜まれたことはお有りかしら?」
「…果物のお酒ですか?葡萄酒を頂いたことは、有りますけど」
「果物から作るお酒ではなくて、果物を漬け込んだお酒のことですわ」
「果物を漬けたお酒…それは初めて聞きましたわ」
奥方様の言葉を聞いた姫は、さすが果物王国だわねと関心しました。
そのまま食べるだけでなく、飾り切りしたもの、乾かしたもの、砂糖で煮たもの、お茶に入れて味と香りを付けつけるものなど、この地のことを知って以来様々な果物の使い方を知った姫ですが、果実酒については初耳でした。

「あら、まだご存知ありませんでしたのね。お酒として楽しむだけでなく、季節にならないと収穫出来ない果物を保存する意味も有りますのよ」
予め、用意して有ったのでしょう。奥方様は召使いに命じて、様々な形の美しい瓶が並べられた盆を持って来させました。

「まあ、綺麗…!」
瓶の中身が酒だけで満たされている物も有りましたが、果物がそのまま漬けられている物や果物と一緒に香辛料が入っている物など、見て楽しい物も有りました。

「素敵…これは、見事な物ですわね…!」
「見た目も美しいでしょう?サクナ様の所でお作りになった物を季節の折々に頂いても居りますのよ。残念ながら飲み終えてしまった物も有りますから、ここにある全部がサクナ様から頂いたものでは無いのですけれど」
スグリ姫は、タンム卿とローゼルが屋敷に来た時に、一番良い物を出すことになっている客だとサクナに言われた事を思い出しました。という事は果実酒もまた、一番良い出来の物を納めている筈です。

(サクナが作った中で一番良く出来たお酒を納めているなら、他所のお酒もきっと同じくら良いお酒よね…綺麗なのも、当然だわね…)
姫は、並んだ果実酒にうっとりと見蕩れました。

「お飲みになった事が無い様でしたら、是非お味見なさって?」
奥方様は果実酒をぼうっと眺めている姫を見てくすりと笑い、これまた美しい切り子の小さなグラスを用意させ、果実酒を端から少しずつ注がせました…と。

「お義母様!スグリ様は、お酒は」
それまで黙って見ていたローゼルが、義母の事を止めました。
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