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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
「そちらの果樹園では、新しいリンゴを遠方からとり寄せて植えたり、掛け合わせて色々な種類を作ってみたりされているそうですわね?」
「…はい?…」
奥方様の言葉を聞いた姫は、アダンと柵を直した後にサクナと一緒にリンゴを食べたことを思い出しました。確かに、何かそんな様なことを言われた気がしないでも無いのですが、それよりも二人でリンゴを分け合って食べた事や交わした会話が思い出深過ぎて、姫にとって些末な事は、どうにも思い出し難くなってしまっておりました。

「素晴らしい事ですわね。どの位の種類が植わっているのかしら?」
「え?…えーっと?」
「お義母様」
姫がまた考え込み始める前に、ローゼルが固い声で義母に呼び掛けました。

「何かしら、ローゼル?」
「それは、あちらに関わる事を許されている私でも、お聞きしては居ない事ですわ」
感情を抑えたローゼルの物言いに、スグリ姫はきょとんとしました。そして、茶会が始まってから今まで一言も口を利いていない若奥様は心配そうな顔になり、それまでじっと黙って成り行きを見ていた大奥様は、微かに片眉を上げました。

「あら、そうなの?でもスグリ様はあちらのお家の方なんですもの、ご存知よね?」
「お義母様。それは、外部の人間が立ち入って良い部分では無いと私は思いますわ」
ローゼルの言葉は徐々に不快感と怒りを孕み始め、奥方様がローゼルを見る目には、ひやりとした冷たさが滲んで参りました。

「あのう…お二人とも…」
そこにスグリ姫の声が、割って入りました。

「申し訳ないのですけれど…私、何も知りませんのよ」
姫は眉を寄せ情けなさそうな顔をしながら、笑ってみせました。

「リンゴが沢山植わっているのは、知っております。ローゼル様にも敷地を案内して頂きましたし、サクナ…様、とも、お散歩してっ、眺めたし」
姫はローゼル以外の面々の前でサクナをどう呼ぼうか迷いましたが、先程からサクナがご主人とかご当主とか呼ばれているので、よそ行き的に敬称を付けてみることに致しました。
そして例によって例の如く、その呼び方に内心激しく悶えまくっておりました。

「…だけど、それだけです。見ても、新しいとか、掛け合わせとか、全然知りませんし、分かりませんの。…あ、でも!」
「でも?」
でも、という同じ言葉を、奥方様はうずうずしながら口に出し、ローゼルは姫を咎める様に口にしました。
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