この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
けれど、今の姫は、もう何も口にしたくありませんでした。
スグリ姫には、自分の中に甘い酒が零れる寸前ぎりぎり一杯に注がれて、縁まで満たされているように感じられておりました。それは、目の前にある現実の酒を飲み干しても減ることは無く、逆に胸の奥の方から湧き出して来て、今にも溢れ出しそうな程でした。
そんな訳でスグリ姫は、自分の中にこれ以上一滴も酒が入る気がしませんでしたし、余計な物はもう一滴も入れたくも無かったのです。

「…似た者夫婦だわねえ」
「え?」
大奥様の発した言葉は突然だったので、スグリ姫は「にたものふうふ」という言葉の音は耳で拾いましたが、意味は頭に届きませんでした。

「お分かりになったのでしょ?」
「お義母様!」
にたものふうふ?と姫の頭が反芻して咀嚼してを繰り返す事で手一杯な間に、大奥様の言葉は続き、奥方様が大奥様に噛み付いて捨て置かれるという、なかなか穏やかではない光景が繰り広げられたりしておりました。

「貴女の感じられた通りですよ。今日お出しした中ではそれだけが、柊屋敷で作られた物よ」
「…ひいらぎやしき?」
先程の「にたものふうふ」がまだ理解できない姫の頭に、「ひいらぎやしき」という、これまたすんなり頭に届かぬ言葉が耳で拾われて追加されました。

「貴女が嫁ぐサクナの屋敷の、昔からの呼び名ですよ」
「なるほど…」
(お屋敷の外を、ヒイラギって言う木が囲っていたわよね…それで、柊屋敷…!)
姫の頭の中で、「にたものふうふ」よりも先に、柊屋敷が解決されました。

「果実酒は、初めてお飲みになったのよね?」
「はい」
「大したお姫様ねえ。この土地の産まれでも、育ちでもないのに…これはやっぱり、娶わせないと仕様が無かったんだわねえ」
「へ?」
「お義母様、それは」
「スグリ様は最初からタンムのお相手ではなかった、という事ですよ」
奥方様が言い募ろうとした言葉を、大奥様は少しも気に留めずに遮りました。
/235ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ