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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
「ご馳走様でした。とても楽しかったですわ。お招き頂いて、本当にありがとうございました」
「こちらこそ、十分なおもてなしが出来たかどうか…お会い出来て嬉しゅう御座いましたわ」

大奥様のお褒めの言葉の後、茶会はそろそろお開きにしましょうかと言うことになりました。
何事もなかったとは言えない茶会でしたが、奥方様の茶会の割には、比較的和やかに波風立たずに終える事が出来そうでした。
別れの挨拶をしている最中、ローゼルがスグリ姫ともう少し話したいから居て貰っても良いかと奥方様や大奥様に聞き、スグリ姫は飼い主に褒められた犬ころのように、目をきらきらさせてローゼルを見ました。ローゼルはそれに気付かぬ振りをしていましたが、祖母である大奥様に姫は友達なのかと聞かれ、咄嗟に答えに詰まりました。

知りもしないで嫌な女だと決めつけていた当初ほどには嫌っては居ませんが、好きかと言われると、返答に悩むところです。気になっては居りますが、苦手だと感じる瞬間も羨ましいと思う瞬間もあり、ローゼルにとってはどうにも一言では説明し難い関係でした。
しかし。

「ええ、大奥様!ローゼル様には、いつも、とても良くして頂いておりますの!!」
自分が迷っている間に、スグリ姫から間髪入れずに祖母に軽やかに返された言葉を聞いて、ローゼルは仰天しました。

「この地が初めてで何も知らない私に、丁寧に分かりやすく色々教えて下さって…私の方が年上なのですけれど、お姉様みたいに頼りになる、素晴らしいお友達ですわ!」
言われた本人が赤面しそうな賞賛の後に、すんなり「お友達」と言われたローゼルは、くすぐったいような否定したいような微妙な気持ちになり、スグリ姫の輝くような笑顔からふいっと目を逸らしました。

ところがです。
逸らした視線に、見逃せないものが引っ掛かりました。
(…ビスカスっ!?)
何故か物陰に隠れてニヤニヤしているビスカスが、探しても居ないのに視界に入り込んで来たのです。
あちらも視線に気付いたのか一瞬で隠れましたが、ローゼルが長年一緒に居るビスカスを、見逃す筈は有りません。

(…ビスカス…お前、そこで何しているのっ…?!)
後で問い詰めてやると思いながら、ローゼルは別れの挨拶が終わって散会するのを、イライラしながら待ちました。
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