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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
「さくらんぼのお酒を飲んだら、他に何があったか、忘れちゃった!仕方ないわよね、そのくらい美味しかったんだもの…それで、大奥様に、よく柊屋敷のお酒がどれだか分かったねーって言われて、これなら嫁として文句は無いって…サクナ?」
抱かれている腕が強張った様な気がして、スグリ姫はふとサクナの顔を見ました。その表情がいつもに増して不機嫌そうになっているのを見た姫は、どうかした?と心配顔になりました。

「…甘かった」
「へ?お酒が?」
「いや…悪かった、俺が甘かった」
「え?なんで?」
サクナは姫を抱き締めて髪を撫でましたが、その表情は苦い物でした。

「女…奥方様を、甘く見てた。せいぜい、見合いの件で嫌味言われるくれぇかと…お前が試されるって知ってたら、どんな事をしても茶会にゃ来させなかった」
「うん?…うん。そういうつもりは、無かったみたいよ?大奥様が、おっしゃってたもの。嫁取りの承認は、もう済んだ事だー、って」
「大奥様は、な」

女狐は端からその積もりだったんだろう、とサクナは歯噛みしました。
姫が果実酒の味の違いを分からなかったら、それを嘆かわしい事であるかのように決め付けて、当主の嫁に相応しくない等とあちこちで有ること無いこと尾ひれをつけて、吹聴する気だったのでしょう。
タンム卿と姫との見合いのことは家の面子に関わる事でしょうし、義理の息子の今後の嫁取りに差し支えるので話題にすることは止められているでしょうが、姫の適性についてだけであれば、別です。奥方様の思惑通りになっていたら、大手を振って姫自身と、その姫を娶るサクナを、貶めることが出来たでしょう。

「…サクナ?」
「何だ」
「心配しなくても、大丈夫よ?」
「何が」
「バンシルが、お茶会で困ったら、お母様をお呼びしたら落ち着くって、教えてくれたの」
「あ?」
「お母様をお呼びしてー、それから、バンシルも呼んだわ。すごーく効果あったのよ!」
「…そうか」
サクナは姫が何を言い出したのか、よく分かりませんでした。しかし、後で酔いの醒めた姫本人か、それで分からなければバンシルに聞きゃあ良いかと思い、そのまま続きを聞きました。

「でも、サクナは、呼ばなかったの!」
「は?」
(…そりゃ、こんなに嬉しそうに言われる様な事なのか…?)
足環をしゃらんと楽しげに鳴らしながら話されるのに見合わぬ内容に、サクナは困惑しました。
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