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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第12章 茶会と果実酒
困ったときに母親と侍女が呼ばれて、もうすぐ夫になるサクナが呼ばれないというのは、どういう意味なのでしょう。
(茶会が女限定だからか…?いや、構わねぇだろ、現実に乗り込む訳じゃ無ぇんだし…それか、あれか?魔女限定なのか?魔女を呼んだらなんか有るのか?!)
(どっちにしても、俺じゃ役立たずだったって事かよ…しかし、なんでそんな事を、そんなににっこにこしながら話しやがるんだ、こいつは!)
サクナは困惑を通り越して、蠱惑されました。
姫には魔女の適性は無かった様ですが、サクナにとっては、とんだ魔女です。人を振り回すのも大概にしろと言いたい所ですが、バンシルが言っていた通り好き好んで振り回されることを選んでいるので、手の施しようが有りません。
「だってサクナはー、呼ぶ必要ないんだもの」
悶々と考えを巡らせていたところに、姫が朗らかに追い討ちを掛けました。
この急転直下の出来事に、サクナは軽く目眩がしました。
これほど嬉しげに「必要ない」と言われた婚約者は、どう振る舞えば良いのでしょうか。
(や、ちょっと待て。聞き違いか、うっかりかも知れねえ)
姫はもともとうっかりな上、現在酔っ払い真っ只中です。
何か間違えたのかもしれません。
「…あー…」
サクナは咳払いして、聞き返しました。
「俺は、呼ぶ必要が、無え…のか?」
「ええ!」
姫は即座に、こっくり頷きました。
「…そうか…」
がっくり項垂れたサクナの耳に、姫の弾むような、少しはにかんだ声が聞こえました。
「だって、いつも居るもの!」
「…は?」
「サクナは呼ばなくても、居てくれるもの…いつも、この辺に居るの」
姫は赤い石の首飾りの、真ん中の石が付いた辺りをドレスと一緒にきゅっと握りました。
「だから、私、何度試されても大丈夫よ?果物でも作ったものでも何でも、いくつか出されてどれがサクナのか当ててみろって言われても、きっと間違わないわ。だって、いつも一緒なんだも…んっ…?!」
「…お前は…毎度毎度毎度毎度人の気も知らねぇで、何って事を…」
「え?え?」
「しかも、ここぁ人ん家だぞ!?どうしてくれんだ、この野郎…!」
「ふぇ!?私、人様のお家で言ったらダメなこと、言った?!」
「ダメな事言ったかどうか、思い知れ…!」
「へ?…え?!…んっ…!」
先程の味見とは違う貪るような口づけを与えられて、姫は身を捩りました。
(茶会が女限定だからか…?いや、構わねぇだろ、現実に乗り込む訳じゃ無ぇんだし…それか、あれか?魔女限定なのか?魔女を呼んだらなんか有るのか?!)
(どっちにしても、俺じゃ役立たずだったって事かよ…しかし、なんでそんな事を、そんなににっこにこしながら話しやがるんだ、こいつは!)
サクナは困惑を通り越して、蠱惑されました。
姫には魔女の適性は無かった様ですが、サクナにとっては、とんだ魔女です。人を振り回すのも大概にしろと言いたい所ですが、バンシルが言っていた通り好き好んで振り回されることを選んでいるので、手の施しようが有りません。
「だってサクナはー、呼ぶ必要ないんだもの」
悶々と考えを巡らせていたところに、姫が朗らかに追い討ちを掛けました。
この急転直下の出来事に、サクナは軽く目眩がしました。
これほど嬉しげに「必要ない」と言われた婚約者は、どう振る舞えば良いのでしょうか。
(や、ちょっと待て。聞き違いか、うっかりかも知れねえ)
姫はもともとうっかりな上、現在酔っ払い真っ只中です。
何か間違えたのかもしれません。
「…あー…」
サクナは咳払いして、聞き返しました。
「俺は、呼ぶ必要が、無え…のか?」
「ええ!」
姫は即座に、こっくり頷きました。
「…そうか…」
がっくり項垂れたサクナの耳に、姫の弾むような、少しはにかんだ声が聞こえました。
「だって、いつも居るもの!」
「…は?」
「サクナは呼ばなくても、居てくれるもの…いつも、この辺に居るの」
姫は赤い石の首飾りの、真ん中の石が付いた辺りをドレスと一緒にきゅっと握りました。
「だから、私、何度試されても大丈夫よ?果物でも作ったものでも何でも、いくつか出されてどれがサクナのか当ててみろって言われても、きっと間違わないわ。だって、いつも一緒なんだも…んっ…?!」
「…お前は…毎度毎度毎度毎度人の気も知らねぇで、何って事を…」
「え?え?」
「しかも、ここぁ人ん家だぞ!?どうしてくれんだ、この野郎…!」
「ふぇ!?私、人様のお家で言ったらダメなこと、言った?!」
「ダメな事言ったかどうか、思い知れ…!」
「へ?…え?!…んっ…!」
先程の味見とは違う貪るような口づけを与えられて、姫は身を捩りました。