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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第1章 ヒイラギと姫君
「ほんと?サクナも、きもちよかった?」
「ああ。お前自分で分かんなかったか?」
「なにが?」
「いつもと違ったぞ。なんて言うか…きゅうきゅうじゃなくて、うねうねっと」
「うねっ!?」
「前はこうじゃ無かったから、しばらくヤらなかったからって訳でも無ぇだろうし…終わったあといつもこうなのか、毎回ヤって確かめねぇといけねぇな」
「う…うね…う…」
サクナは不穏な実験の予告をして、おでこにちゅっと口づけましたが、頭の中がすっかり「うねうね」で一杯になっていた姫の耳には「毎回ヤッて確かめる」件は届いておりませんでした。

「寝れそうか?」
「う…さっきまで、眠かったけど、」
姫の眠気は、自分がうねうねしていたと聞いた衝撃でちょっと醒めてしまったのですが、そこは口籠もりました。

「もう、出発までここで寝ろ」
「でも」
朝起きる時間までサクナの部屋に居たことは、今まで有りませんでした。
逆に、朝起きる時間までサクナが姫の部屋にいたことも有りません。
婚約者ではありますが、夫婦では無いのです。
別々の部屋を与えられている以上、お互いの部屋を行き来しているのが暗黙の了解だとは言え、そこは崩してはいけないものだと姫は決めておりました。

「…今更だろ」
「うん…」
「お前が部屋に居なきゃ、バンシルはちゃんとここに来る」
「ん…」

(そうね…明日から新しい毎日になるんだもの、朝までここに居ても、良いわよね…)

スグリ姫はそう考えて、サクナの胸に頭をすり、と擦り付けました。
何故かは分かりませんが、ずっとここに居ていいんだと思った途端に、ふわりと眠気がやってきておりました。
「ん…ここで、ねる…」
「そうしろ。ゆっくり休め」
「うん…おやすみなさい」
「お休み、スグリ」
髪に口づけられるのを感じながら、スグリ姫はとろとろと、微睡みの中に溶けていきました…………
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