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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第1章 ヒイラギと姫君
「ここが俺の部屋だ」
姫を連れて屋敷を一通り案内したサクナが、最後に来たのは奥まったところにある部屋でした。
鍵を出して開けると姫を先に中に入れ、扉を閉めて施錠しました。
部屋の中は二つに仕切られていて、棚や机のある書斎と、寝台や箪笥が置いてある寝室がありました。
机の上には、書類が積まれたり箱が置かれたりしています。先程案内された部屋の中には当主の執務室も有ったので、ここは私室の筈です。スグリ姫は、仕事の建物や執務室だけでなく、このお部屋でもお仕事してるのねと、姫の知らないここでのサクナの普段の姿を思い浮かべました。

「…お前の部屋は、とりあえず、ここの隣だ。が、」
手を引かれて書斎を通り過ぎ、寝室に入るとそのまた奥に、入り口とは異なる扉がありました。
そこは鍵を掛けてはいないらしく、取っ手を回して押しただけで、扉は向こうに開きました。

「扉を開けりゃあ、繋がる様にしてある」
開け放たれた扉の向こうには、サクナの言う通り別の部屋がありました。そこは都の姫の部屋とどことなく似た雰囲気の調度が設えられていて、姫の持って来た荷物がほとんど全て置かれておりました。

「壁をぶち抜いて繋げただけだから、お前の部屋からも直接廊下に出られる」
サクナはそちらの部屋の扉も開けて、廊下に繋がっているのを姫に見せると、扉を元の通りに閉めて、かちゃりと鍵を掛けました。

「わざわざ、ここまでしてくれなくても…」
「わざわざ作ったものはまだあるが…それは後だ」
もったいないわ、と呟く姫の両手を取ると、サクナは姫に聞きました。

「何が有った?」
「…何も。」
姫は首を振って、俯きました。
先程ローゼルとの間で交わした会話について話すのは、告げ口のようで嫌でした。
そして、それ以上に、あの美しく賢い非の打ち所の無さそうなローゼルとの過去をサクナに聞いてしまったら、そのあとどうしたら良いものなのか、姫には分からなかったのです。
そんなことになるくらいなら、何も無かったことにする方がいい、と姫は思いました。それには、自分を納得させさえすれば済むのです。

(ローゼル様は、美人だし、格好いいし、頭も良いし、仕事も出来そうだし)

姫は、可愛いと言われることは有りましたし、綺麗と言われることも、無くはありませんでした。
が、美人と言われたことは、一度も有りません。
多分、この先も無いでしょう。
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