この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第13章 柊屋敷の嫁御様
「クソっ…何でっ…どこだ?どこ怪我した!」
サクナは姫のドレスを脱がせようとしましたが、出血している場所をこれ以上傷める訳にはいきません。ドレスを切って脱がせるか怪我の場所を聞き出さなくてはと焦っているサクナに、姫は首を振りました。
「…ち、が…っ」
震えてしゃくり上げながら、姫は一生懸命言葉を口にしようとしました。
「え?」
「…わたっ…じゃ、ないっ」
「お前じゃない?!」
姫の言葉を聞きもう一度ドレスを見て胸元から中を覗き込むと、血は外から付いているだけだと分かりました。サクナは、瞬間的に煮えくり返った全身から力が抜けて、ほっとして崩れ落ちそうになりました。
手早く全身を確かめると、姫は少なくともすぐに手当てが必要な程の大きな怪我をしては居ない様でした。サクナは姫が無事だと知って、姫をぎゅっと抱き締めました。
「…良かった…!肝が冷えたぞ…」
「…ごめん、なさっ…」
抱き締められて抱き返し、姫の強張っていた体は緩み、震えは少しだけ止まりました。安心した様に大きく息を吐いた姫は、次の瞬間はっとして、叫ぶように言いました。
「…でもっ!!でも、私を庇ってっ、刺されっ…」
「何だと?!」
「サクナを呼んで、って…っ!」
「何」
「はやくっ!…早く、行って!…行かなきゃ!!」
サクナは半分しゃくり上げながら必死で説明する姫の頬を、両手で包みました。
「分かった。急ぐな、落ち着け…その方が早い。何が有ったか、ゆっくり話せ」
目を合わせると、サクナは穏やかにさえ聞こえる様な声と口調で、姫にひとつずつ尋ねました。
「刺されたのは、誰だ?……何処に居る?」
サクナは姫のドレスを脱がせようとしましたが、出血している場所をこれ以上傷める訳にはいきません。ドレスを切って脱がせるか怪我の場所を聞き出さなくてはと焦っているサクナに、姫は首を振りました。
「…ち、が…っ」
震えてしゃくり上げながら、姫は一生懸命言葉を口にしようとしました。
「え?」
「…わたっ…じゃ、ないっ」
「お前じゃない?!」
姫の言葉を聞きもう一度ドレスを見て胸元から中を覗き込むと、血は外から付いているだけだと分かりました。サクナは、瞬間的に煮えくり返った全身から力が抜けて、ほっとして崩れ落ちそうになりました。
手早く全身を確かめると、姫は少なくともすぐに手当てが必要な程の大きな怪我をしては居ない様でした。サクナは姫が無事だと知って、姫をぎゅっと抱き締めました。
「…良かった…!肝が冷えたぞ…」
「…ごめん、なさっ…」
抱き締められて抱き返し、姫の強張っていた体は緩み、震えは少しだけ止まりました。安心した様に大きく息を吐いた姫は、次の瞬間はっとして、叫ぶように言いました。
「…でもっ!!でも、私を庇ってっ、刺されっ…」
「何だと?!」
「サクナを呼んで、って…っ!」
「何」
「はやくっ!…早く、行って!…行かなきゃ!!」
サクナは半分しゃくり上げながら必死で説明する姫の頬を、両手で包みました。
「分かった。急ぐな、落ち着け…その方が早い。何が有ったか、ゆっくり話せ」
目を合わせると、サクナは穏やかにさえ聞こえる様な声と口調で、姫にひとつずつ尋ねました。
「刺されたのは、誰だ?……何処に居る?」