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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第7章 暇とお仕事
「分かりましたか?姫様に人を見る目を要求するのは、無理です。」
「ああ…そこまで酷くねぇどころか、どこまでも酷かったな…」
「どこまでもひどかったって、ひどい…」
スグリ姫が、言われたことは鵜呑みにし、嘘が見抜けず、悪意に鈍感で、信じやすく騙されやすいということは、バンシルもサクナも知っておりました。
「姫様。私が責任を持って信用できそうな人間を選んで、この地でもちゃんと姫様をお支えできる者を育てますから。そうしとかないと都に居ても気が気じゃないですよ」
「う」
「いや…ここまで人を疑わねぇと却って悪意が削がれるんじゃねぇか?あのローゼルに謝らせた位だからな」
「うう」
「それ聞きましたけど、もしかしてそれもあの高飛車なお嬢様の策略じゃないんですか」
「ううう」
「…否定は出来ねえ…」
「二人とも…私、そんなにひどすぎる…?」
姫が泣きそうな顔になりながら言うと、二人は真顔で答えました。
「ああ。酷可愛くて酷素直すぎるな。ついでに言うとそんなお前は酷愛おしいぞ」
「ええ。酷お仕えしたいですし酷守って差し上げたいですね」
「…二人とも…私のこと酷い馬鹿って思ってるでしょ…」
「いや、全く。」
「いいえ、全然。」
姫が何事であっても信じやすく騙されやすいということを、二人ともよく知っておりました。
それは困った事でもありましたが、姫の姫らしい所であり、二人とも姫のそんなところも、どうしようもなく好ましいと思っていたのです。
酷いを連発された姫はぶうっと膨れ、サクナが姫をよしよしと撫で、バンシルは話を纏めるべく口を開きました。
「まあ、とりあえず初回の面接は、私と、この家の方ーークロウ様か当主様かどちらかにお願いして、候補者を絞りますよ。最終面接だけは、姫様も同席なさってください」
「最終面接?」
「ええ。最終面接に進むまでに、身元の確かさや仕事が出来るかどうかは確認しときますから、あとは姫様と気が合いそうかだけ見てください。一緒に過ごしても良い感じか、ずっと居たら気兼ねしそうか、それだけ見ていただければ結構です」
バンシルは一度そこで話を止めて、思いついたように、付け加えました。