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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第7章 暇とお仕事
「それもですけど、やること沢山ありますよね?婚礼衣装を頼みに行ったり」
「…あ。そうだわね…」
婚礼衣装を頼むのは時間が掛かりそうなので、早めに行こうということになっておりました。
が、サクナに、以前城で着たドレスを持参して、それについての相談も一緒にしたいから少し待ってくれと言われていたのです。
少し待つ理由が「ドレスに着いてしまった外聞を憚る汚れを取るのに洗濯屋に出しているから」だということは、姫とサクナしか知りませんでした。

「けっこう、忙しいのね…今日の午後みたいな暇が続くかと思ってた」
「嫁入り前の娘が暇になるなんてこと、滅多にありませんって」
「…でも、春からは――結婚したら、きっと暇よね?」
「それも分かりませんよ」
「どうして?」
姫の疑問に、バンシルはやれやれと思いながら答えました。

「もし赤ん坊が出来たら、暇になんかなりゃしませんでしょ?お腹に居るって分かった時から、暇なんてもんは吹っ飛びますよ」
「…そっか…赤ちゃん…」
姫は最近は忘れていたことを思い出して、少し赤くなりました。

「姫様の場合、いつ出来たって不思議はありませんよね?」
「…うん」
普通は、結婚前に子どもができるのは、困ることなのかもしれません。
ですが、姫とサクナの場合は、最初に致した時はともかく、その翌朝以降は本人達にも周りにも、子どもが出来たら出来たで目出度いし嬉しいという、緩やかな歓迎の意識しか有りませんでした。
そのため、後始末が面倒だという理由以外で避妊めいたことをしたことは、今まで一度もありません。
それでも律儀に月のものが来ることを、姫は時々少しだけ気にしていました。

「…バンシル?」
「何ですか?」
「私、もしかして、赤ちゃん出来にくいのかしら…」
「何言ってんですか。まだヤ…婚約なさって四月かそこらですよね?そんくらいじゃ分かりませんって」
バンシルはヤリまくり出してから四月と少しと言いそうになりましたが、さすがに姫様相手にその言葉遣いは宜しくないだろうと、ぎりぎりで踏み止まりました。
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