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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第1章 ヒイラギと姫君
スグリ姫はローゼルの案内で、敷地の中の建物や畑、果樹園等を見て回りました。

「…外は広うございますから、今日で全部は回り切れませんね」
隅から隅まで見る訳には行きませんでしたが、どの辺がどんな仕事の為の場所なのかは概ね区分けされておりましたので、案内が終わりに近付く頃には、大まかな地図が姫の頭の中に出来ました。
それは、姫にも分かるように上手く説明をしてくれた、ローゼルのお陰であると言えたでしょう。

(ローゼル様って…美人ですらっとしてて親切なだけじゃなくって、頭も良くてらっしゃるんだわね…)

「…今日回れなかった所は、サクナ様にお伝えしておきますね。そちらは追々ご覧頂くことにして、最後に温室を見に参りましょうか」
果樹園や畑は大体分かる程度に端折っても、姫が興味を持った温室はしっかり案内してくれる気遣いに感心しながら、スグリ姫はローゼルに御礼を言いました。

「お心遣い、ありがとうございます。ローゼル様のおかげで、どこに何があるのか、なんとなく分かるようになりました」
「それは、良うございました」
ローゼルは姫ににこっと笑い、あちらが温室です、と金属の骨組にガラスがはめてある建物を示しました。

「わあ…すごーい…」
ガラス張りなので、ある程度は外からも中の様子が窺えます。姫にとっては外にある南の植物ですら珍しい物が多かったのですが、温室の中の植物は更に、見たこともない不思議な姿をしている物が有りました。

「中に入られますか?」
「え?!いえいえいえ!」
いつの間にか、ガラスに鼻がくっつくくらい近付いて中を見ていたスグリ姫は、ローゼルにそう聞かれて、頭を振りました。
「入ったら、あったかいんですよね?」
「ええ」
「そしたら、入ったら、外の寒いのが入っちゃいますよね?」
「…ええ、まあ…」
ローゼルは姫の言いたいことが良く分からないのか、困惑した表情になりました。

「じゃあ、入らなくていいです。あったかいのが良い植物が、植わってるんでしょう?」
「ええ」
「冬だし、寒いのが入ったら可哀想なので…春になったら、入らせて貰います」
姫がそう言うとローゼルは、そうですか、では戻りましょう、と言って踵を返しました。

「それにしても、色んなことをしてる、色んな場所があるんだわねー…」

姫がローゼルを追い掛けながら呟くと、きりっとした声の返事が戻って参りました。
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