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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第1章 ヒイラギと姫君
「そういう『色んなこと』や、それに携わる『色んな人』を束ねてらっしゃるのが、サクナ様ですわ」
「あー、なるほどー!」
単に「当主様」と言われるより、そう言われる方が分かりやすいなあ、と姫はまた感心しました。
「…何も、ご存じないんですのね」
「え?」
「…いえ。たくさん歩いたから、お疲れになったでしょう?」
「いいえ、大丈夫です。こう見えても、体力は有るんです」
体力が有るのは趣味が木工なお陰です、と言う姫らしからぬ理由は、サクナの名誉に関わるかもしれないので、控えておきました。
そうこうしている内に二人は出発した辺りの、屋敷の近くまで戻って参りました。
「本当に、ありがとうございました!ローゼル様のご説明が、とても分かりやすくて…どこがどんなことをしているのかすごく良く分かったし、これで迷子にならなくて済みそうです。すっごく、助かりました」
「いいえ、どう致しまして」
ローゼルは姫の言葉に、にこりと笑いました。
「それに、ローゼル様がああ言って下さらなかったら、サクナ、お仕事に行かないって、ずっと駄々捏ねてたかもしれないし…助けて頂いて、本当に良かったです」
「…スグリ様?」
姫が、ありがとうございます!ともう一度お辞儀をしたとき、頭の上から声がしました。
「はい?」
「サクナ様の腰のほくろ、」
「ふぇ?」
急に聞かされた、今までと全く違う単語の並びに、姫の頭は付いていけませんでした。
「…大きいのと、ちょっと小さいのが、並んでるでしょう?」
「へ?」
「あんなに綺麗に模様みたいに並んでるなんて、珍しいですわよね?」
「え??」
「そうそう、それに、」
姫がやっと何の事を言われてるのか分かりかけたところで、また話の方向が変わりました。
「際どい所に、傷もお有りでしょう?命に関わるようなお怪我だったとか…痛々しいですわよね?」
「…えっ、と?」
「…とっくに、お分かりでしょうけど」
言葉の意味にやっと追い付いたものの、何故急にそんな話になったのか付いていけない姫の頭がぐるぐるしていると、追い討ちを掛けるように、ローゼルが妖艶に笑いました。
「サクナ様のことご存知なのは、スグリ様だけじゃ、ありませんのよ?」
(ほくろ、って…それに、傷…)
「スグリ様」
姫が言われた言葉の意味を理解しようと、一から考え直し始めた所に、聞き慣れた声が響いてきました。
「あー、なるほどー!」
単に「当主様」と言われるより、そう言われる方が分かりやすいなあ、と姫はまた感心しました。
「…何も、ご存じないんですのね」
「え?」
「…いえ。たくさん歩いたから、お疲れになったでしょう?」
「いいえ、大丈夫です。こう見えても、体力は有るんです」
体力が有るのは趣味が木工なお陰です、と言う姫らしからぬ理由は、サクナの名誉に関わるかもしれないので、控えておきました。
そうこうしている内に二人は出発した辺りの、屋敷の近くまで戻って参りました。
「本当に、ありがとうございました!ローゼル様のご説明が、とても分かりやすくて…どこがどんなことをしているのかすごく良く分かったし、これで迷子にならなくて済みそうです。すっごく、助かりました」
「いいえ、どう致しまして」
ローゼルは姫の言葉に、にこりと笑いました。
「それに、ローゼル様がああ言って下さらなかったら、サクナ、お仕事に行かないって、ずっと駄々捏ねてたかもしれないし…助けて頂いて、本当に良かったです」
「…スグリ様?」
姫が、ありがとうございます!ともう一度お辞儀をしたとき、頭の上から声がしました。
「はい?」
「サクナ様の腰のほくろ、」
「ふぇ?」
急に聞かされた、今までと全く違う単語の並びに、姫の頭は付いていけませんでした。
「…大きいのと、ちょっと小さいのが、並んでるでしょう?」
「へ?」
「あんなに綺麗に模様みたいに並んでるなんて、珍しいですわよね?」
「え??」
「そうそう、それに、」
姫がやっと何の事を言われてるのか分かりかけたところで、また話の方向が変わりました。
「際どい所に、傷もお有りでしょう?命に関わるようなお怪我だったとか…痛々しいですわよね?」
「…えっ、と?」
「…とっくに、お分かりでしょうけど」
言葉の意味にやっと追い付いたものの、何故急にそんな話になったのか付いていけない姫の頭がぐるぐるしていると、追い討ちを掛けるように、ローゼルが妖艶に笑いました。
「サクナ様のことご存知なのは、スグリ様だけじゃ、ありませんのよ?」
(ほくろ、って…それに、傷…)
「スグリ様」
姫が言われた言葉の意味を理解しようと、一から考え直し始めた所に、聞き慣れた声が響いてきました。