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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第8章 木柵とリンゴ
「知恵って、木工の?私で分かることかしら」
「木工っていうか、もうちっと大きいものだな。果物畑の柵だ」
「柵?柵を作るの?」
「いや。壊れちまってるとこが有んだよ。俺ぁ半分隠居してるようなもんなんで、忙しい訳じゃねえ。壊れたらその都度直しゃあ良いっちゃ良いんだが、スグリ嬢ちゃん見てたら、もっと上手ぇやり方があるんじゃねぇかって思ってな」
アダンは今迄、今やっている柵作りの方法に、特に不満はありませんでした。そのやり方が普通でしたし、柵は時々壊れる物で、壊れたら直す物だと思っていたからです。
けれど、数日の間スグリ姫の作業を眺めていて、もしかするともっと賢いやり方があるのではないかと、ちらっと思ったのです。
それともう一つ、アダンははっきり気づいていませんでしたが、姫に相談しようと思った理由がありました。
最初会った時には思ってもいませんでしたが、数日間姫と接して一緒に過ごしている内に、姫と過ごすのはとても気分の良いものだと思うようになったのです。
一生懸命作業をしながらアダンの話に楽しげに相槌を打ち、時々驚いて目を丸くしたりころころと笑う「スグリ嬢ちゃん」を、アダンはすっかり気に入っていました。
そんな姫としばらく会えなくなるのが惜しいというのも、姫に相談を持ちかけた隠れた理由でありました。
「柵は、いじったこと無いけど…もしよかったら、直すのお手伝いさせて欲しいわ」
当然ですが、都では木の柵を必要とする場所は、ここほどは有りません。ですがここでは、先日案内されたときに見た畑や果樹園には木の柵を巡らせて囲ってある場所や、仕切ってある場所が何箇所もありました。
アダンに柵のことを教えてもらって自分が何かできるなら、これからも役に立つかもしれないと姫は思ったのです。
「いやぁ、相談に乗ってくれるだけで十分だ。嬢ちゃんの仕事を増やす訳にゃあいかねぇよ」
「ううん。だって、これが終わっちゃったから、今はやること無いもの。今後の参考にもなるし、お手伝いできたら嬉しいわ」
しばしの押し問答の末、姫が手伝うかどうかはともかく今の状況を見に行こうということになり、二人はあずまやから果樹園の方に向かって歩いて行ったのでありました。
「木工っていうか、もうちっと大きいものだな。果物畑の柵だ」
「柵?柵を作るの?」
「いや。壊れちまってるとこが有んだよ。俺ぁ半分隠居してるようなもんなんで、忙しい訳じゃねえ。壊れたらその都度直しゃあ良いっちゃ良いんだが、スグリ嬢ちゃん見てたら、もっと上手ぇやり方があるんじゃねぇかって思ってな」
アダンは今迄、今やっている柵作りの方法に、特に不満はありませんでした。そのやり方が普通でしたし、柵は時々壊れる物で、壊れたら直す物だと思っていたからです。
けれど、数日の間スグリ姫の作業を眺めていて、もしかするともっと賢いやり方があるのではないかと、ちらっと思ったのです。
それともう一つ、アダンははっきり気づいていませんでしたが、姫に相談しようと思った理由がありました。
最初会った時には思ってもいませんでしたが、数日間姫と接して一緒に過ごしている内に、姫と過ごすのはとても気分の良いものだと思うようになったのです。
一生懸命作業をしながらアダンの話に楽しげに相槌を打ち、時々驚いて目を丸くしたりころころと笑う「スグリ嬢ちゃん」を、アダンはすっかり気に入っていました。
そんな姫としばらく会えなくなるのが惜しいというのも、姫に相談を持ちかけた隠れた理由でありました。
「柵は、いじったこと無いけど…もしよかったら、直すのお手伝いさせて欲しいわ」
当然ですが、都では木の柵を必要とする場所は、ここほどは有りません。ですがここでは、先日案内されたときに見た畑や果樹園には木の柵を巡らせて囲ってある場所や、仕切ってある場所が何箇所もありました。
アダンに柵のことを教えてもらって自分が何かできるなら、これからも役に立つかもしれないと姫は思ったのです。
「いやぁ、相談に乗ってくれるだけで十分だ。嬢ちゃんの仕事を増やす訳にゃあいかねぇよ」
「ううん。だって、これが終わっちゃったから、今はやること無いもの。今後の参考にもなるし、お手伝いできたら嬉しいわ」
しばしの押し問答の末、姫が手伝うかどうかはともかく今の状況を見に行こうということになり、二人はあずまやから果樹園の方に向かって歩いて行ったのでありました。