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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第8章 木柵とリンゴ
「面接はどうしたの?」
仕事に戻るというアダンを、またね、と見送ったあと、姫はサクナにずっと疑問だったことを聞きました。

「今日は最後だから早めに終わったんだよ。で、屋敷に戻ってみたら、部屋はもぬけの殻だった」
姫の首に寒さ避けのショールを巻きながら、サクナは不機嫌そうに言いました。

「クロウはいけしゃあしゃあと『スグリ姫様は外にお出かけなさっておられます』とか言いやがるし、バンシルは『お迎えに行かれるならそろそろ寒くなってきたんで』とかでこれ持たせやがるし…知らなかったのは、俺だけかよ」
「ごめんなさい」
「しかも、あの辺りにいるだろうって奴等が言った場所にゃあ居ないと来たもんだ。探したぞ」
「…ますます、ごめんなさい…」
姫はサクナに心配をかけまいと外出を内緒にしたことを、反省しました。
反省した姫は、これからはサクナに内緒事をするのは止めようと思ったのですが、肩にかけている布袋の中に内緒事がしっかり収められているのを思い出し、内緒事はどうしてもな時だけにしよう、と思い直しました。

「…まあ良いさ。迷子にゃなってなかったもんな」
「木工やろうと思って外に出たら、アダンさんに会ったの。色々お話聞かせてもらったわ」
布袋の中身のことを思い出した姫は、外してあった指輪のことも思い出しました。中をごそごそ探って指輪を探し当てて取り出すと、サクナが貸してみろ、と手を出しました。

「色々聞かせて貰った話ってなぁ、どんな話だ?」
「えーと」
「言えない様な話かよ」
「うーんと」
「言わねぇと啼かせるぞ」
「泣かされるのは嫌だわ」
たわいもない会話を交わしながらサクナは姫の右手を手に取って、薬指をすっと撫で、指輪を嵌めて口づけました。
姫はくすりと笑って、ありがと、と御礼を言うと、アダンと話したことをサクナに説明しました。

「先代様のお話とか、私の知らないサクナの話を聞いちゃった」
「あ?俺の話?悪口か」
口づけた手をそのまま握って、サクナはぶらぶら歩き始めました。
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