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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第8章 木柵とリンゴ
「お前だからだ、つったろ」
「え?」
「薔薇の棘は折るわ鬼の角は抜くわ、お前はほんとにどうしようも無ぇなあ」
「へ?」
「…俺以外の人間にはお前がマンドラゴラに見える魔法は無ぇのか…」
姫の頭でぽんぽんと手を弾ませながら、今度王妃様に伺ってみるかと眉を顰めて真剣に言うサクナに、スグリ姫は吹き出しました。

「ねぇ。マンドラゴラって、ほんとに叫ぶの?」
敷地のどこかに植わってる?と聞くスグリ姫の手を引いてまた歩きだしたサクナは、呆れた様に言いました。
「そんな物騒な物、植えてあるわきゃねえだろ。こんな可愛いマンドラゴラが植わってたら見るたびに引っこ抜いて、俺はとっくにお陀仏だ」
サクナはそう言うと、つないでいた姫の手を持ち上げて、手の甲に口づけました。
「大変!もし私が畑に植わってても、抜いちゃだめよ!」
「分かった。お前で抜いてもお前を抜くのは止めて置こうな」
「うん!…ん?んん?…あら?」
姫はサクナの言葉に一瞬疑問を持ちましたが、遠くに見えた光景に疑問は跡形もなく吹っ飛びました。

「ねえ!あれ、リンゴ?」
「あー、あれか。そうだ、リンゴだな」
「もう冬なのに、まだなってる木があるの?」
サクナが秋に帰った理由は、秋の果物の収穫の手配と加工の采配をする為でした。先日ローゼルにざっと案内されたときもリンゴの実った木は見なかったので、スグリ姫はリンゴはサクナが先日帰った時にほとんど収穫されたのだと思っていたのです。

「ああ。あそこは特別なんだ。行ってみるか?」
「いいの?!特別って、もしかして、果物上の秘密の場所じゃないの?!」
「なんだよ、果物上の秘密って」
サクナは姫が声を潜めて言った言葉に、思わず小さく吹き出しました。
それからしばらく歩いて行くと、姫が先程見つけたリンゴの木の所に着きました。

「これ、種類で分けてるの?」
近付いてみると、リンゴのなっている木となっていない木がまとめられ、区分けされているようでした。
「ああ。ここは新しい品種を試しに作ってる畑だ」
「へえ…」
「ここで実らせて、味とか見た目とか持ちが良けりゃあ大々的に栽培する。あとは、虫や病気に弱く無ぇかも大事だな」
「病気」
「ああ。ここから離れた町の事だが、病気で杏園が丸々全滅したことがあったな」
ここではない所ではありましたが、果物園を襲った惨事を話しながら、サクナは眉を顰めました。
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