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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第8章 木柵とリンゴ
「え!?全滅?!」
果樹園の木が丸々全滅したと聞いた姫は、この畑がそうなることを思わず想像してしまい、さあっと血の気が引きました。

「切り倒して引っこ抜いて土を消毒して植え直したらしいが、すぐにゃあ育たねぇし、大損害だ…名産地だったんだがな。滅多にあることじゃねぇが、果物は生き物だからなあ。そんなこともある。…食ってみるか?」
「いいの?」
「勿論。ちょっと待ってろ」
サクナはリンゴの木を眺めると、実っている中から一個を選んで、指差しました。
「あれ捥いでみろ」
「あんなとこの?」
「ああ」
「分かった…きゃ」
高いところのリンゴを指差された姫は、どうやって木に登ろうかと考えたのですが、サクナに抱き上げられました。

「こら、今登ろうと思ったろ。スカートで登んじゃねえよ…これで届くか?」
「うん!…あ、取れた」
姫を下ろしてリンゴを受け取り、着ていたシャツで擦りました。
「面接の格好だから、ナイフが無ぇな」
仕方ねぇと呟くと、ヘタを取ってから太腿の辺りに押さえ付けるようにして両手で力を入れて、リンゴを二つに割りました。
「え!?すごい!!」
「ほら、半分こだ」
「ありがと!…サクナ、リンゴを手で割れるのね!?すごーい!」
「難しいことじゃねえ。やり方さえ分かりゃあ、お前でも出来るぞ」
「ほんと?やってみたい!…あ、美味しい!!」
「うん、美味ぇな」
姫は、渡されたリンゴをほとんど食べてしまいました。
昼食の後で力仕事をしたのでお腹が空いていたのもありますが、リンゴがとても美味しかったのです。
皮を剥かずに丸ごと齧ったのは子どもの頃バンシルの家に遊びに行って以来でした。ですが、その頃食べたリンゴと違って皮が薄く、齧るとぷつんと気持ちの良い歯応えを残して弾けて、中から張りのあるみずみずしい身が現れました。酸っぱ過ぎも甘すぎもしない、しっかりした味の身を味わっているうちに、気がついたらリンゴは芯を残してなくなっていました。

(はっ!…美味し過ぎて、がつがつ食べちゃったっ…!!)
サクナを見ると最初の一口を齧っただけだったので、姫は恥かしさに身を縮めました。
サクナは全く気に留めていない様子で、それ寄越せ、とリンゴの芯を姫の手から取って、また木を眺めました。

「そっちのリンゴも捥いでみろ」
「え?これも?」
そちらは姫でも届く高さだったので、手を伸ばして捥ぎました。
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