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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第8章 木柵とリンゴ
「一番美味い物を食えば、それより美味く無ぇ物が分かるが、適当なものを食い続けると、何が美味いか分からなくなる。お前、桃食った後に、一番美味いのを食って良いのかって聞いたよな?」
「ええ」
「一番美味い物をお前に食わせる理由の一つは、それだ。幸いお前はここらの出じゃ無ぇからな、食わせ甲斐があるぞ」
「それ、幸いなの?」
「幸いだぞ?ここらの出で適当な物しか食って来て無ぇ人間が味を憶え直すより、お前が一から憶える方が、遥かに簡単なんだよ。お前は今まで食った果物の種類が少ねぇ上に、都で手に入る中じゃあ一番美味い物食って来てるからな。変な思い込みとか無ぇから助かる」
サクナの言葉は、何も知らないことを気にしていた姫には、驚きでした。

「知らなくって良かったってことも、あるのね…」
「そりゃあるだろ。…他にも有ったよな?」
「え?他にも?…あ」
サクナはリンゴの芯を全部集めて、地面に落としました。
そして姫のショールを直す振りをして、胸元から背中にかけてリンゴの匂いのする指を滑らせて、姫の素肌を擽りました。
暖かく包まれている肌を冷えた指先で触れられたのですから寒くなっても良い筈なのに、弱い所を探り当てられた姫の体は、まるでバターか何かになったかのように、熱を帯びて瞬時に溶けました。
「分かったか?」
「…んっ…」
姫は返事の代わりのように、サクナに凭れて縋りました。
確かに、肌に直接触れて愛でられることは、姫がサクナと出会ったことで、一から憶えた事でした。
その後は、他の殿方に同じように触れられた事が無いので比べる事は出来ませんが、今の姫にはサクナに与えられる果実と同じように、これ以上触れられたい手があるとは思えませんでした。

「…ん、分かった…」
片手で支えるように肩を抱かれて、姫は甘い溜息をつきました。
「それと同じだ。だから遠慮せずに一番美味いものを食え。食ってりゃ体が自然に憶える。それがお前の力になる。この家の人間としてやって行く時に、お前を助けて、守ってくれる」
ゆっくり髪を撫でられながら囁かれ、姫は目を閉じてふうっと息を吐きました。
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