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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第9章 埃と扉
「スグリ、風邪引くぞ」
「…う…?」
存分に睦み合った後、先程の入浴の意味が無くなるほど汗をかいたサクナは、風呂の始末をしながら体を拭くために、一人で姫の寝室から風呂場に向かいました。
姫は寝台にぐったり沈み込んでいましたし、湯はほとんど水に近く冷めていてもう入浴には使えなかったので、とりあえず乾いた布で体をざっと拭って寝かせておきました。
諸々が済んで寝室に戻ってみると、姫は裸のままうとうとと眠っておりました。
そろそろ寒い時期ですし、姫は今日は風呂でのぼせかけたりも致しました。そのため、裸のままで寝かせるのは憚られ、サクナは姫を起こそうと声を掛けました。
「…おとうさま?…」
「…寝ぼけてんのか?」
サクナは姫の言葉を一瞬不思議に感じましたが、両親の夢を見ていたのかと思いながら、顔にかかった髪を手でよけるように頬を撫でました。
「…あ、サクナ…」
「一度起きろ。寝巻き着るぞ」
サクナは姫を抱き起こし、背中や必要な所を拭いてやって寝巻きを着せ、クッションを当てて寝台に座らせました。
そして先程持ってきた物を手にして、姫の傍らに座りました。
「ほら、口開けろ」
「…なにー?…」
「寝る前にこれ食え。夜中に腹減って目が覚めたら困るだろ」
「う…べつに、だいじょぶなのに……ん?」
目を擦っていた姫は突然鼻をひくひくさせて、ぱっちり目を開けました。
「なに?!なに、これ!?いいにおいっ!!」
「梨だ」
口開け、ともう一度言われた姫は、匂いに釣られ、今度は素直に口を開けました。
「どうだ」
「……おいしい…だけじゃ、ない…!」
「あ?」
「おいしい…!おいしいし、このにおいになりたい…!!」
「は?」
姫はうっとりした表情を浮かべて、溜め息混じりに言いました。
「すごく、いいにおい…とけちゃいそう…」
「おい」
「…もっと、ちょうだい…?」
スグリ姫はとろんとした目をサクナに向けて、甘えるように言いました。
「…なんで梨食ってクソエッロ…」
「?なあに?」
「…何でもねぇ…」
姫にきょとんとされ、サクナは頭を振りました。
姫の機嫌と明日の予定と侍女の怒りを考え、梨は梨だ所詮果物だエロい訳が無ぇ全て気のせいだと自分に言い聞かせました。
「良いから、さっさと食って寝ろ」
梨を食べ終えた姫に水を飲ませて寝かせると、姫の隣に横になりました。
「…う…?」
存分に睦み合った後、先程の入浴の意味が無くなるほど汗をかいたサクナは、風呂の始末をしながら体を拭くために、一人で姫の寝室から風呂場に向かいました。
姫は寝台にぐったり沈み込んでいましたし、湯はほとんど水に近く冷めていてもう入浴には使えなかったので、とりあえず乾いた布で体をざっと拭って寝かせておきました。
諸々が済んで寝室に戻ってみると、姫は裸のままうとうとと眠っておりました。
そろそろ寒い時期ですし、姫は今日は風呂でのぼせかけたりも致しました。そのため、裸のままで寝かせるのは憚られ、サクナは姫を起こそうと声を掛けました。
「…おとうさま?…」
「…寝ぼけてんのか?」
サクナは姫の言葉を一瞬不思議に感じましたが、両親の夢を見ていたのかと思いながら、顔にかかった髪を手でよけるように頬を撫でました。
「…あ、サクナ…」
「一度起きろ。寝巻き着るぞ」
サクナは姫を抱き起こし、背中や必要な所を拭いてやって寝巻きを着せ、クッションを当てて寝台に座らせました。
そして先程持ってきた物を手にして、姫の傍らに座りました。
「ほら、口開けろ」
「…なにー?…」
「寝る前にこれ食え。夜中に腹減って目が覚めたら困るだろ」
「う…べつに、だいじょぶなのに……ん?」
目を擦っていた姫は突然鼻をひくひくさせて、ぱっちり目を開けました。
「なに?!なに、これ!?いいにおいっ!!」
「梨だ」
口開け、ともう一度言われた姫は、匂いに釣られ、今度は素直に口を開けました。
「どうだ」
「……おいしい…だけじゃ、ない…!」
「あ?」
「おいしい…!おいしいし、このにおいになりたい…!!」
「は?」
姫はうっとりした表情を浮かべて、溜め息混じりに言いました。
「すごく、いいにおい…とけちゃいそう…」
「おい」
「…もっと、ちょうだい…?」
スグリ姫はとろんとした目をサクナに向けて、甘えるように言いました。
「…なんで梨食ってクソエッロ…」
「?なあに?」
「…何でもねぇ…」
姫にきょとんとされ、サクナは頭を振りました。
姫の機嫌と明日の予定と侍女の怒りを考え、梨は梨だ所詮果物だエロい訳が無ぇ全て気のせいだと自分に言い聞かせました。
「良いから、さっさと食って寝ろ」
梨を食べ終えた姫に水を飲ませて寝かせると、姫の隣に横になりました。