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柊屋敷の嫁御様(くすくす姫後日談・その5)
第10章 面接と候補者
「なんか…ひどい…」
一人残された姫は、小山の中で呟きました。
考えてみれば、ひどいのは決してバンシルではありません。バンシルは単に正直過ぎて口が悪いだけです。
ひどいのはもうすぐここに来る当主様だと、姫は自分の事を棚上げして膨れました。
(決めたわ…!今日は、絶対、一歩も譲らない…!!)
今日は節度を持って仲良くすると言い張ろうと決心して、スグリ姫は小山の中でぎゅっと拳を握り締めたのでした。
「おはよう、バンシル!!」
「おはようございます、姫様」
「今朝は、いい朝ねえ!!」
「…何で朝からそんな無駄にご機嫌なんですか…」
「え?そう?別に、普通よ?」
姫はバンシルににっこり笑いました。
実のところ姫は、かなりウキウキしていました。
なぜなら、昨夜サクナの誘いに打ち勝ったからです。
(ふふー!やれば出来るのよ、私も!)
以前、「一回だけ」で散々な目にあったことを思い出した姫は、昨夜は一回だけとは言わず、別の提案を致しました。
意外なことにそれが二、三のやり取りの後あっさり受け入れられて、昨夜は二人とも節度を持って大人しくちょっとだけ仲良くして休みました。
おかげで今朝は清清しく目覚め、ちゃんと起き上がっておはようの挨拶を交わし、その後も寝台からちゃんと速やかに出て、今こうしてちゃんとバンシルの朝の訪問を受けることが出来ておりました。
「面接、頑張るわ!どんな人達が来るの?」
「そうですね」
バンシルは姫の髪を結いながら、最終候補者を思い出しました。
「料理人が何人かと、洗濯や掃除をする使用人が何人か…姫様のお世話をする侍女候補は、三人ですね」
スグリ姫は、三人という微妙な人数にたじろぎました。
「三人!?何人選ぶの!?」
「…それは、秘密です」
「なんでっ!?」
「言うと姫様、気になさるでしょう?」
「う」
「面接しながら悩まれちゃあ困りますからね。前にも言ったように、気楽にお喋りするつもりで居てくだされば良いんです」
「ううう…」
清々しい朝を迎えた筈の姫は、眉間に皺を寄せました。
候補者が多ければ、落ちる人も多いでしょう。それは仕方ありません。
逆に、一人か二人なら、全員合格も有り得るでしょう。
けれど、候補者は三人なのです。
今バンシル一人でこなしている姫の世話を、三人でというのは難しいでしょう。ただでさえ姫の為に、他にも使用人が増えるのですから。
一人残された姫は、小山の中で呟きました。
考えてみれば、ひどいのは決してバンシルではありません。バンシルは単に正直過ぎて口が悪いだけです。
ひどいのはもうすぐここに来る当主様だと、姫は自分の事を棚上げして膨れました。
(決めたわ…!今日は、絶対、一歩も譲らない…!!)
今日は節度を持って仲良くすると言い張ろうと決心して、スグリ姫は小山の中でぎゅっと拳を握り締めたのでした。
「おはよう、バンシル!!」
「おはようございます、姫様」
「今朝は、いい朝ねえ!!」
「…何で朝からそんな無駄にご機嫌なんですか…」
「え?そう?別に、普通よ?」
姫はバンシルににっこり笑いました。
実のところ姫は、かなりウキウキしていました。
なぜなら、昨夜サクナの誘いに打ち勝ったからです。
(ふふー!やれば出来るのよ、私も!)
以前、「一回だけ」で散々な目にあったことを思い出した姫は、昨夜は一回だけとは言わず、別の提案を致しました。
意外なことにそれが二、三のやり取りの後あっさり受け入れられて、昨夜は二人とも節度を持って大人しくちょっとだけ仲良くして休みました。
おかげで今朝は清清しく目覚め、ちゃんと起き上がっておはようの挨拶を交わし、その後も寝台からちゃんと速やかに出て、今こうしてちゃんとバンシルの朝の訪問を受けることが出来ておりました。
「面接、頑張るわ!どんな人達が来るの?」
「そうですね」
バンシルは姫の髪を結いながら、最終候補者を思い出しました。
「料理人が何人かと、洗濯や掃除をする使用人が何人か…姫様のお世話をする侍女候補は、三人ですね」
スグリ姫は、三人という微妙な人数にたじろぎました。
「三人!?何人選ぶの!?」
「…それは、秘密です」
「なんでっ!?」
「言うと姫様、気になさるでしょう?」
「う」
「面接しながら悩まれちゃあ困りますからね。前にも言ったように、気楽にお喋りするつもりで居てくだされば良いんです」
「ううう…」
清々しい朝を迎えた筈の姫は、眉間に皺を寄せました。
候補者が多ければ、落ちる人も多いでしょう。それは仕方ありません。
逆に、一人か二人なら、全員合格も有り得るでしょう。
けれど、候補者は三人なのです。
今バンシル一人でこなしている姫の世話を、三人でというのは難しいでしょう。ただでさえ姫の為に、他にも使用人が増えるのですから。