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愛の調教バトル
第5章 初調教前夜・男の回想2

引っ越してきた私は、翔子の部屋を使うことになった。
生前に何度も来ており、翔子と語り合った思い出の場所であり、
キチンと片付けられ落ち着いた雰囲気で、
机や箪笥などの家具にも控えめではあるが、、
女性らしい華やかさがそこはかとなく醸し出されていて、
目に触れるだけで懐かしい翔子の面影が、蘇ってくる。
しかし、私が持ってきた家具も入れると部屋が狭くなるので、
翔子の家具は、納戸代わりに使われている空き部屋に移した。
ただ、翔子がいつも机の上に飾って眺めていたという、
私とツーショットで写った写真が入った写真立だけは残して、
私が持ってきた机の上に移した。
翔子の父は仕事人間の怖い人で、家にいると女三人は怯えて小さくなっていたようだが、
相当なやり手で収入が多く、アパートや貸家なども何軒か持っていた。
その家賃収入がそこそこあるので、遺された翔子たちが金銭的にに困ることは、
全くなかった。
ただほとんど不動産屋に任しているとはいえ、家主としての仕事はそれなりにあり、
これまで、そういうことは苦手な母に代わって翔子がやっていたのだが、
彼女の死後それらのしごとすべてを私が引き受け、対応するようになった。
一人暮らしをしていた私は、炊事・洗濯・掃除などの一切の家事を、
一応一通り自分でできるのだが、一緒に暮らすようになると、
家事は一切やらせてもらえなくなった。
せめて自分の部屋の掃除くらいは自分でやるといったのだが、
玲子がそれは時分の仕事だと言って頑として聞かず、
私がいないときは、勝手に部屋に入ってきてやってしまっているし、
いるときも、「お兄ちゃん、ちょっと、お邪魔します」といって入ってきて、
掃除機をかけたり、屑籠のごみを捨てたりした。
それだけではなく、しょっちゅう話をしに私の部屋を訪れた。
翔子は、背はやや低く細身の体つきで、丸顔で眼鏡をかけている。
性格はこの家で一番明るく、翔子と似た顔で姉妹とはわかるが、印象はずいぶん違う。
無類の読書好きで、いろいろな本を読んでは私の部屋にその感想などを語りにくるので、
時々閉口することもあったが、一人っ子で育った私にはこんな兄と妹とのような関係が、
新鮮で心地良いものに感じられた。

