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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第15章 約束は、守るものです
「……ロゼの我が儘を許しても、良いのですか?」
おい、お坊ちゃんよ。
やり方が、汚ぇよ。
お嬢様ぁ、責任感の強いお方だ。ご家族の事も、この家の事も、ご領主様の後継として治める事になるこの土地の事も、大事に思っていらっしゃる。
そんな気持ちを形に取る様な真似するなんざ、あんた本当に良家のご子息か?
何か言ってやろうかーーそう思った時だった。
「貴方は、ローゼルが我が儘を言っていると思うのね?」
大奥様が、ぴしりと坊ちゃんに仰った。
「はい。ロゼも、そう言って居ますよね?」
「……品の良い話では無いから、はっきり言うのは控えたのだけど……後継者の仕事の一つは、次の世代を繋ぐ事ーー子を儲ける事よ」
大奥様は溜息を吐いてそう仰ると、話を続けられた。
「勿論、愛し合っても子が出来ない夫婦は居るわ。それはどうにも出来ない事だけれど、最初から共寝の相性が良くないとはっきりしている同士が夫婦になるのでは、困るのですよ」
その通りだ。
踊りは本来余興じゃねえ。夫婦になろうって男と女が、体の相性を確かめる為に、踊るんでさあ。
ここの踊りゃあ、都やなんかの踊りみたいにゃ難しく無え。体をあちこちくっつけ合って、一緒に動くのが基本だからな。スグリ様がここらの出じゃなかったのに上手く踊れた、サクナ様達が良い例だ。息が合うとか、気が合うとか、肌が合うのが重要で、技術は二の次だ。
もっとも、おそらくこの坊ちゃんは好き勝手に踊って、ちゃんと踊りに見える様にって、お嬢様が全部尻拭いなさってたんだろうよ。
……お可哀想に。お嬢様ぁ踊りの名手だってのが、却って仇になっちまったな。
「……この地の婚礼は、宣誓で心が結ばれているかどうかを確かめ、異議申し立てで周囲に祝福されているかどうかを確かめるの。そして、二人で踊る事で、肉体的に結ばれる事が出来る相手かどうかを、最後の最後に確かめるのですよ」
演説をぶち上げ終わった大奥様は、きりりとお嬢様と俺の方をご覧になった。