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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第15章 約束は、守るものです
「ビスカス」
「へ……はいっ!」
「ローゼルを、部屋に連れて行ってやって頂戴」
「へ」

 ……へ?
 今か?
 ……もしもし?大奥様?
 まだお坊ちゃまぁ納得なさっちゃいやせんよ?

 大奥様に名を呼ばれ、理解不能な頼まれ事をしたせいで、俺は全身が固まった。

「ローゼル」
「はい、お祖母様」
「リアンには、私達から話をするわ。その間、席を外していて頂戴」
「はい……」

 ……あ。なるほど。
 お嬢様がいらっしゃると話がややこしくなるから、退けときたいんだぁね。お坊ちゃんは聞く耳持たねーみてぇだからな。その方が良いかもしれねーね。

「安心なさい。もう、無理はさせませんよ」

 お祖母様とお孫様の、穏やかな会話。
 お嬢様もやっと安心なさったのか、大奥様の言葉にはにかむ様に微笑まれて、くてんと体を俺に預けて来なすった。ほっとして、眠たくなられたのかね。お小せぇ頃、遊び疲れた時と似てるな。
 大奥様が約束して下すったんだから、もう大丈夫だろう。良かった良かった。大奥様のご指示の通り、後ぁお任せして、お部屋にお送りして、お休み願いやしょう。

「……ビスカス?」
「はいっ!?」

 うおっ!?油断した。びっくりすんじゃねーですか、大奥様。

「ローゼルを、宜しくお願いしますよ。……頼むわね」
「畏まりましたっ!」

 畏まりました、大奥様。
 承った通り、お嬢様をお部屋にお連れする為に、抱き上げる。
 大奥様ぁ、よっぽど孫娘様が心配なんだねー?念押しされねぇでも、きちんと仕事はしまさぁね。
 首になろーがどうしようが、俺ぁ、お嬢様の護衛ですからね。

「お嬢様。今から、お部屋にお連れ致しやす。しっかり掴まってて下せぇよ」
「ええ、ビスカス」

 お嬢様は抱き上げた時少しびっくりされたみてぇだが、すぐにきゅっと掴まって、にっこり笑って下すった。
 ……お嬢様?えれぇ素直ですね?色々有って、お疲れなんだろうな。早くお部屋でゆっくり休んで頂きてーもんだね。

 俺は部屋の中の皆様に一礼すると、お嬢様を連れて広間を後にした。
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