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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第15章 約束は、守るものです
* * *
大奥様に頼まれた俺ぁ、お嬢様をお連れして、廊下を歩き階段を上り、また廊下をせっせと歩いて、お嬢様のお部屋に着いた。
「お嬢様?着きやしたよー、お部屋ですよー?」
「ん」
声を掛けたら、お嬢様ぁこくんと頷かれた。お声も仕草も、大人しい。もう眠てーんだね。分かりやす。
「お休みになりやすか?」
「……ん」
今度ぁゆっくり、だけどこっくり頷かれたので、お嬢様をお連れしたまま寝室の扉を開けてみた。何年振りだ、お嬢様の寝室ぁ……
……って、確か今朝も思っ……?……うわわわわわわ!!
「お嬢様?」
「何」
「とりあえず、あっちで座りやしょうか」
「嫌」
嫌って。「ん」とか「何」とか「嫌」とか、さっきから返事が短か過ぎらぁね……ってなぁ、ともかくだ。
さっき、お嬢様の寝室の扉を開けて思い出した。
寝室の設えは、すっかり初夜の寝床、初床だ。至る所に花が飾られ、寝台の上には綺麗に花片が散っている。
花片ぁ、これからここで純潔を散らしますよー、って印だ。
……マズい。そんな所に俺がお嬢様を下ろして良い訳ゃ無くないか?!
「お嬢様、すいやせん。寝室は、ちょっと取り込みが」
「駄目」
……あのー。「駄目」って言われてもですね。
「や……ちっと、花……いやいや、ちーっと使えねー感じなんで、とりあえず、長椅子で、寝やしょうねー」
その間に、初床片付けちまいますからねー。
「……嫌だって、言ってるじゃないの」
おお……お嬢様のお返事が、長くなった……。
長かぁなったが、否定されてんなぁ変わんねーなw
お嬢様ぁ、言い出したら聞かねぇんだよな。
この、凛とした、意志の強さ。さすがお嬢様……じゃああるんだけどな。
「お嬢様?ちょっとだけ長椅子でお待ち頂いたら、すぐ」
「嫌っ。狭いっ」
「……へえへえ。分かりやした。」
仕方無え。ずっとお嬢様を抱いてる訳にゃあいかねーし、止むを得ねーやな。
寝台の上の、いーい香りのする薔薇の花片は、蹴散らし……ちゃあマズい。俺が純潔散らしてどーすんだよw
こりゃ、しようがねぇね。泣き腫らして俺にぴったりくっ付かれてるお嬢様を、花片を散らさねー様に、そーっと寝台に下ろし……おい。
俺はお嬢様を寝かせる為に寝台の上に傾いたまま、固まった。