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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第15章 約束は、守るものです

「……滅茶滅茶惚れてるって、言ってたじゃない……」

 俯いたまま俺を見上げたお嬢様の頬っぺたが、赤くなって熱くなった。やべーです、移りそうです。

「そうですよ。お会いした最初っからずーっと、物凄く滅茶滅茶惚れてますよ」
「……馬鹿っ……」

 俺がせっかくお嬢様と同じ様に恥じらいで頬を染めたってのに、お嬢様ぁ今度ぁ違う事で真っ赤になられた。

「……馬鹿っ!!馬鹿っ馬鹿馬鹿馬鹿っ!!!!」
「うわわ、ちょっ」

 さすがお嬢様。そーですよねー、どっちかって言うと、怒りで真っ赤になりやすよねーw
 俺ぁお嬢様にぐらぐら揺さぶられた上、ぽかぽか叩かれ初床の寝台に押し倒……誰の為の初床なんだこれw

「……馬鹿っ……あれから、何度も、沢山、泣いたんだからっ……!」
「すいやせん……そんなに、お気になさってたんで?」
「馬鹿っ!気にしてなんか居た訳無いじゃないっ!!どんな女に負けたのかと思って、悔しくって、泣いたのよ!!」
「ほんっと、すいやせん……俺にゃあ女は、お嬢様だけ居りゃあ、十分です」
「……馬鹿ぁっ……」

 お嬢様が、ぎゅうっと抱き付いて来たので、抱き締めて背中をとんとんさすってやった。小せぇ頃に、良くせがまれたっけ。
 二十何年か分の、お嬢様との思い出が浮かぶ。こんな美しい赤ん坊がこの世に居るのかと驚いてから今までの、ひとつひとつが全部愛おしい。どのお嬢様も特別だ。
 お嬢様の仰る通りでさあ。他人様の事を嫁馬鹿とか言ってる場合じゃ無え、俺の方が酷ぇ馬鹿だった。
 三十年物の、お嬢様馬鹿だ。

「それから……お前がいつも優しいのは、私のこと女として見てないからだって思って……それも悔しくて、泣いたんだから……」
「……は?なんでそうなるんで?」

 お嬢様は、聞き捨てならねぇ事を呟きながら、鼻をすすった。ぶつぶつ言いながらも俺の上にくてんと身を預けてらっしゃるのが驚異的にお可愛らしくて、膝から崩れ落ちそうでさぁ……横んなってて良かったわw

「リアンが言ったのよ。愛してる女ならどこでも全部触りたくなるし、痛がったって嫌がったって、我慢できない事も有るって」
「……そりゃー、人と時と場合によるんじゃねーですか」

 あのー、お嬢様?
 そろそろ御従兄弟様の事持ち出すなぁ、止めて頂けやせんかね?
 いやいや。元々俺が悪ぃんだよな。すみません文句言いません。
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