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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第10章 身から出た錆です
「何故、ロゼを拒絶した?」
「や、お嬢様を拒絶した訳じゃ」
「結果的には拒絶だ。ロゼは、窮地でお前に頼ったんだぞ。そのロゼの申し出を、お前は拒否した」
「……それは……」
「もし拒絶ではなかったとしても、もう遅い。ロゼはプライドが高い。断られた相手に、二度は頼らないだろう。私達は止むを得ず別の相手を探す事にした。その見合いの日が、明日だ」
「見合いっ!?明日……」
「ああ。明日からしばらく、見合い相手が我が家に逗留する事になる。あいつは、人見知りが激しい。自分が認めない相手の事は、人とも思わない所も有る。見た目の好みも意外にうるさい。
他にも、挙げれば細々と好き嫌いの多い、面倒臭い女だ。かなり苦労したが、条件をある程度満たす人間が見つかった」
そこで俺をじろっと見て、タンム様はまた溜息を吐いた。
「相手は、北の領主の三男だ。私達兄弟にとっては、従兄弟に当たる。旧知の親戚だ、人見知りしようが無い」
「……御従兄弟様……」
「ロゼが嫌がらない事、この家の跡取りの婿として家に入る事を了承出来る事、ロゼを愛して大事にしてくれる事……我が家の男三人の出した条件は、たった三つだ。だが、ロゼの希望と私達三人の条件を全て満たす者は、なかなか見つからなかった。後継者の交替には、期限がある。見つかった事が僥倖なんだ、この機会は逃す訳にはいかない」
タンム様は立ち上がって、俺に命じた。
「ビスカス。帰って来い。そして、お前のした事の結末を見届けろ」