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ビスカスくんの下ネタ日記(くすくす姫後日談サイドストーリー)
第12章 猿と刃物は使い様です
高ぇ山の上の方の水晶の谷に一本だけ咲いてる、奇跡みてぇな朱赤の薔薇。
……全然似てねぇだろ。頭大丈夫か俺。
あ、色は似てんな。大丈夫だな、俺w
「どうせお前、暇なんだろ?俺に付き合え。ほら、行くぞ」
頭が変になった疑惑に囚われてる間に、俺はサクナ様に引き擦られ、厨房へと連れて行かれた。
* * *
「お前、本っ当に、本気でそれなのか……無理に面白ぇ事しようとしちゃねぇか……?」
「っ話しかけねーで下せっ手ぇ切ります」
俺を厨房に連れて来たサクナ様は、まず手をよく洗う様に命じた。ちゃちゃっと濡らせば洗った事になるって人生しか送ってねぇ俺は、何故洗うかとか洗い方とかから、懇切丁寧に指導された。
暇か。暇なんだな。ウサギが帰った途端にそんなに暇なんて、今迄どんだけスグリ様とイチャついてたんだかが、偲ばれまさぁね。
それから、いよいよ刃物を渡された。その前にも、使ったら即刻洗って拭いて乾かしてから仕舞えとか、置く時とか渡す時の向きとか、噛んで含める様に指導された。
で、洗って処理済みらしいオレンジを、積まれた山から一個取って、俺の前に置いて、言った。
「どんな風でも良いから、切ってみろ」
その結果が、これだ。
目の前に広がる、悲惨な光景。オレンジ惨殺現場ってところだぁね。人間の血が流れて無ぇのが、不幸中の幸いだ。
「……できやした。」
「……こりゃあ……お前、これ干して、干し果物になると思うか?」
「……思いやせん……」
思う訳無ぇでしょ。干しても途中で腐ると思うね。または、恨みを残したミイラみてーのが干上がるねw
「面白ぇよなあ。体使うのは猿並みなのにな」
「面白くなんざねーですよ」
俺ぁ道具を使うなぁ得意じゃねえ。って言うか、不器用の極みだ。それを知っててなんでやらせんだよ、あんた。鬼だね、鬼。ウサギ姫に言いつけますぜ。
俺が拗ねくさったガキみてぇにいじけてたら、サクナ様は悲惨なオレンジを容れ物に入れて片付けて、次のオレンジを手に取った。
「良いか。お前は、勘違いをしている。お前がやってんなぁ、こういう事だ」
そう言うとサクナ様はオレンジにナイフを当てて、刃の背に反対の掌を当てると、そのまま上から一息に、ナイフの背を下に向かって押した。
するとオレンジは、見事に…………潰れた。