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チャンスの神様は・・・
第1章 グアム編
美咲ちゃんも頬がうっすらと赤くなり目元も緩んでいます。
海と私を交互に見つめながら、ふふっと照れたような笑顔を見せています。
昼間に見せていた無邪気さよりも、少し大人っぽさを感じました。
「静かですね・・・」
そう言って手すりを掴んでいる腕を伸ばしたり曲げたりして、落ち着きがありません。
「静かだね・・・」
同じ事を言ってから、スッと左手で彼女の肩を抱き寄せました。
一回だけチラッと私に悪戯っぽい瞳を向けると俯いてしまいます。
ベランダから見える景色は、ケバケバしいネオンの広告や無駄な明かりなど無い、月明かりだけで照らされている砂浜と湖の様に静かな海、そして星空です。
湿度が無い分、吹いて来る風を冷たく感じます。
「寒くない?・・・」
左手に力を入れると、肩に頭を持たれかけてきました。
「・・・もう、戻ってこないのかと思っちゃった・・・」
少し掠れた小さな声です。
「それは無いよ。奈菜ちゃん、ぐっすりと寝てるからさ」
「・・・」
「・・・」
引き返すのか進むのか、そんな分岐点に居る時の一瞬の間が、期待と不安で満たされていきます。
こんな時私は、行動する方を選びます。
美咲ちゃんの甘い香りが鼻をくすぐってきます。それをユックリと吸ってから優しく抱きしめました。
彼女の身体には力が入っていても、拒んでいる印象ではありません。
髪や肩を撫でて身体から力が抜けるのを待ちます。
徐々に腕に力を入れて密着度を高めると、硬さが溶けていくように柔らかくなり始めそんな彼女と、もっと溶け合ってしまいたい、そう思えてきます。
「それじゃ、約束どおり・・・」
「きゃっ!!何?何?待って!」
いきなり、私は有無を言わさず美咲ちゃんをお姫様抱っこしてしまいました。
私の腕の中で驚いた後、彼女は笑い転げています。
「あはは・・・もう!ビックリしたぁ!いきなりだもん、心臓がバクバクしてる!」
しばらく笑いあって、そして黙って見つめ合えばすぐに静かな夜に戻ります。
「部屋に戻るよ」
返事は効かずに、空いているベッドルームへ向かいました。
「えっ?」
途中で聞こえたのは、この言葉だけです。
ベッドサイドに美咲ちゃんを降ろしてから、プールの時よりももっと強く抱きしめました。
初めは胸を庇うように組んでいた腕も、少しずつ私の身体に回してくれます。