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第2章 生い立ち

家族ぐるみの付き合いをしていて、いずれは結婚する。
許嫁とは知らなくても、互いにそう思っていたのだ。

僕の家には蔵があり、自室の他に、こっそり隠し部屋を蔵の２階に設けた。

本で読んだ探検家気取りで、蔵にあった木箱で机やベッドを作り、布団もこっそり持ち込んでいた。


沙織を家に招き、裏口からこっそり蔵にいく。

その隠し部屋で僕たちは何度も愛し合った。
二人の間で結婚の約束を交わしていた。


けれども、僕が隠し部屋を作るための木箱の中身に興味を持ち、そこから僕の人生は大きく転換する。

その蔵に収められていたものは、性にまつわる骨董品ばかりだった。

よくわからない道具や薬、その中には書物もあった。最初は意味がわからないものばかりだったが、
その書物を見て、蔵全体が性にまつわるものを収めるためのものとわかってきたのだ。


浮世絵のような淫画、性交技術の手引き書、なかでも僕の心を捕らえたのは、縄で女性を縛った姿を描いた本だった。

本を見て、興奮して、精を漏らしてしまうほどの衝撃的なものだった。

それは性的な趣向だけでなく、僕の人生をも変えてしまった。