この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち
卒業を伸ばして学んでいた日本画と四年間学んだ油絵、両方を融合させた僕の絵を描く。
それを目標にした。
紙と筆と絵の具の組み合わせを考え、両方を融合させて出せる風合いを生かせる題材を選ぶ。
絵は大賞を取り、気鋭の画家として新聞に掲載された。
同じ頃に、沙織は婚家を追い出されていた。
僕の存在を知られ、夫の子を妊娠していたにも関わらず、誰の子供かわからないと離縁されたのだ。
望まない結婚、妊娠中の離縁で、精神的にも病んでいた沙織は、実家の手配した病院で僕の記事を見て、
病院を抜け出して僕の元に来た。
子供を処置して次の嫁ぎ先の算段をする父親の企みに気づいたからだ。
こうして僕たちは一緒に暮らすことになる。
生まれてくる子供の為に、また、実家に呼び戻されないように、アパートを変えた。
役所に届け出を出すのも控えた。
受賞したからといって、すぐに仕事になる訳でもなく、生活は厳しいものだった。
何とか工面して沙織を病院に通わせて、子供が産まれたら、結婚して、届を出そう。
お腹の子供も僕の子供として育てよう。
その思いだけが二人の支えだった。