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写性 …SHASEI…
第2章 生い立ち
「相変わらずだね。ワシと話すのに物怖じすらしない。」
「そんなことじゃなくて、沙絵の容態はどうなんですか?」
「親子みたいに育ってきたからね。その潔さがわが社に欲しかったよ。
一人娘の沙織をやっても惜しくない。そう思っていたのにね。」
「おじさん、沙絵は大丈夫なんですか?沙織は亡くなりました。僕が死なせたと言われても仕方ありません。
それより、沙絵は、大丈夫なんですか?」
「ああ、君からもらったものしか食べないよ。
薬や栄養剤があるから、なんとかなってるけど、精神的なものだと医者から言われたよ。
沙絵もやるよ。
ワシももう長くない。
会社が安泰でも守るものもなくなってしまったからね。」
「そんな話はどうでもいいですから、沙絵に会わせてください。」
「構わんよ。君と沙絵が話すのを見ていたいんだが…」
「どうぞ、そんなことどうでもいいですから…」
立ち上がって沙絵の部屋にいく。おじさんもついてきた。
コンコン…
「沙絵、入るよ。」
「はぁ…はぁ…お父様…」
「沙絵…」
僕は駆け寄った。
細い腕に点滴の針を通し、酸素マスクを付けていた。
あの時と同じ…
沙織を失ったあの日と…