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甘ったれなブルー
第1章 目覚めのブルー
彼の顔が近づく。小さく震えている唇に彼の唇が触れ、その微かな感触に体の奥で小さな火花がスパークする。

「泣きたければ僕の胸でいっぱい泣けばいい。哀しい顔も笑った顔も沙羅の全部が好きだよ」
「・・うっ」

限りなく優しい言葉に溢れるように涙が溢れた。彼の手を取り、濡れている頬に当てて子供のように泣きじゃくってしまう。

「終わることは哀しいことばかりじゃない。新しいエピソードの始まりに繋がっていることもあるよ」
「・・・毛虫みたいに?」
「あははっ。そうそう。毛虫みたいにさ」

彼の腕の中に抱かれながら静かにあやされて、温かく幸せな安堵感に頬を濡らした涙が乾いてゆく。

「ごめんね。せっかく淹れてくれたコーヒーが冷めちゃった」
「いいよ別に。また淹れてあげる」
「どうしてかな」
「どうして? なに?」
「どうして幸せなのに哀しいことを考えるのかな」
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