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甘ったれなブルー
第1章 目覚めのブルー
俯いた頬に暖かい手。目を上げると彼の微笑みがあった。

「僕の沙羅。花が散るのは終わりじゃない。始まりなんだ」
「始まり?」
「そうだよ」

優しい指先が顎まで降りてきて、心地よい安心感に猫のように喉を鳴らして目を閉じる。哀しみのブルーがその色を薄くし、代わりに静かな幸せが湧いてくる。

「ねえ沙羅。花が散ったら桜は死んでしまうかな。きみが勤めている図書館の桜はどう?花が終わったら枯れちゃうかい」
「そんなことはないわ。もしそうだとしたら毎年新しい桜の木を植えないと。でもね、悠くん・・」
「沙羅。僕の話を聞いて。花が散ると黄緑色の芽が出てきて葉が伸びてくる。次のステージの始まりさ。そして美しい新緑の季節を迎えて五月になれば・・・毛むくじゃらの毛虫が湧く」
「ぷっ、ふふっ」
「あ、やっと笑ってくれた」
「だって、毛虫なんて言うから・・」
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