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甘ったれなブルー
第2章 幸せのブルー
でもその日の夜、沙羅は僕の腕に抱かれて眠りながら泣いていた。また哀しい夢を見ているのだろう。彼女の温かくて滑らかな背中に回した手でその柔らかい髪に触ると、切ない痛みがチクっと胸を刺した。


沙羅を初めて抱いた時、彼女は処女だった。僕がゆっくり彼女の中に入ると、声もなく僕の背中にしがみついて泣いた。その時の涙は、破瓜の痛みと処女を失った悲しみだと思った。でもそうじゃなかった。

彼女は僕と一つになれて幸せだと言ってくれた。とても幸せで、信じられないぐらい幸せで、だから哀しいと言った。その次に抱いた時も、沙羅を抱くたびに彼女は僕の腕の中で泣いて、温かい涙で僕の胸を濡らした。

心までしっとり濡らす霧雨のように、音もなく舞い落ちる雪のように、沙羅はいつも静かに声もなく透明な涙を流す。


どうしたら彼女を悲しませずに済むのだろうか。

幸せなほど哀しいと言う紗羅。涙を流しすぎて、いつか本当に透明になって消えてしまいそうな紗羅。
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