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愛は奪うもの。故に我は貴女を奪う。
第1章 寂しい体
「嘘でしょう。槙野くんモテるって噂だよ」
「今言ったとおり特定の彼女はいないし、モテるかどうかなんて関心ないですね」
冷静な態度で美緒を見つめながら答える槙野。その視線に、先程彼の子供っぽい笑顔を見て感じた胸のざわめきが帰ってくる。
「そうなの。意外だわ」
「でも好きな女(ひと)はいます」さりげなく口にされたその言葉にメニューをめくる美緒の手が止まった。しかし目を上げると槙野はさっきと同じように静かに微笑んでいる。
自分のことを言われたと思った美緒は、勘違いと気付いて、一瞬でもそんな馬鹿なことを考えた自分を恥じた。小さな白い顔に微かに赤みが差す。でもその好きな女が誰なのかと聞く勇気はなかった。
「今言ったとおり特定の彼女はいないし、モテるかどうかなんて関心ないですね」
冷静な態度で美緒を見つめながら答える槙野。その視線に、先程彼の子供っぽい笑顔を見て感じた胸のざわめきが帰ってくる。
「そうなの。意外だわ」
「でも好きな女(ひと)はいます」さりげなく口にされたその言葉にメニューをめくる美緒の手が止まった。しかし目を上げると槙野はさっきと同じように静かに微笑んでいる。
自分のことを言われたと思った美緒は、勘違いと気付いて、一瞬でもそんな馬鹿なことを考えた自分を恥じた。小さな白い顔に微かに赤みが差す。でもその好きな女が誰なのかと聞く勇気はなかった。