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愛は奪うもの。故に我は貴女を奪う。
第1章 寂しい体
そんな彼女の心の内を知ってか知らずか、涼しい顔の槙野は明るい声で話しかけてくる。

「酒も頼みましょうか。先輩、飲めますよね」

「うん。でも明日も仕事だしあまり飲めないわよ」

「明日は土曜で休みですが、先輩は休日出勤ですか」

「あっ、いけない」美緒はバツの悪さに再び顔を赤らめた。曜日の感覚がおかしくなっている。こうして槙野に合わなかったら、明日が休日と気付かずにいつも通りの時間に起きて律儀に出勤していたかもしれない。島田との爛れた関係が歪みを生んで、それが美緒の精神を蝕み始めているようだ。
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