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愛は奪うもの。故に我は貴女を奪う。
第1章 寂しい体
注文したピザやサラダ、前菜がテーブル一杯に並んだ。確かに槙野のが言っていたとおり量が多い。

「これで1.5人前なんですよ」「食べきれるかしら。でも美味しそうね」「味は保証します。とりあえず乾杯と行きましょう」そうねと微笑み、ボトルで頼んだワインをお互いのグラスに注いで乾杯をする。

「美緒さんとの楽しい時間に乾杯」「・・・乾杯」

気の利いた乾杯のセリフを返すべきだったか、例えば“槙野くんに会えたことに”とか付け加えるべきだったかなと、美緒は槙野の快活な雰囲気に付いて行けず戸惑うばかり。

どうして子はこんなに楽しそうな顔をするの。今まで彼のこんな顔見たことない。

「どうかしましたか?僕の顔、変ですか」

「えっ。な、何でもないわ」槙野の顔を穴の開くほどジッと見つめていたことに、彼に言われるまで気付かなかった。慌てて目を逸らしワインを飲んで誤魔化す。
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