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愛は奪うもの。故に我は貴女を奪う。
第1章 寂しい体
「そうですか。なら良かった。さあ、どんどん食べましょう」促されるまま、まずお勧めのピザを食べてみる。薄くカリッと焼いた生地にトロけた熱々のチーズ。確かに美味しい。これなら多少量が多くてもペロリと平らげてしまいそうだ。

「どうです?美味いでしょう」「うん。美味しい。今度はそっちのマルゲリータを」「はいはい。取ってあげますからその取り皿をください」「ありがとう。でも槙野くんてこんなに気さくな人だったっけ?」「ええもちろん。気さくで優しい男です」

槙野のとぼけたジョークに美緒は思わず吹き出した。久しぶりにお腹の底から笑った気がする。このところ毎日沈んだ気持ちで過ごしていたので最後に笑ったのはいつのことか思い出せないほどだ。おしゃべりしながらの食事も楽しい。ホスト役の槙野のリードが上手なのだろう。

島田とは滅多に食事に行かない。行ったとしても、ホテルの高級レストランなど、知り合いと会う可能性が低い場所ばかりだった。

カジュアルな雰囲気で男性と食事を楽しむなんて、最近の美緒には考えられなかった。
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