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愛は奪うもの。故に我は貴女を奪う。
第1章 寂しい体
人の涙には理由がある時とそうでない時がある。ただ泣きたいから泣く。そしてその涙を慰めて欲しい時とただ何も言わずに見守って欲しい時がある。
美緒は放って置いて欲しかった。自分の涙を恥ずかしく思い、ただ黙って見守ってくれるだけで良かったのだ。しばらくしたらはにかんだ笑顔で何事もなかったかのように振る舞っただろう。
しかし槙野は黙っていられなかった。無力な自分を横に置いて美緒の涙の責任を他に求め、これまでの二人の関係を崩してしまうような引き返すことの出来ない一言を口にした。
「僕は今日・・美緒さんと企画部の島田課長がホテルから出てくるのを見てしまいました」
美緒は放って置いて欲しかった。自分の涙を恥ずかしく思い、ただ黙って見守ってくれるだけで良かったのだ。しばらくしたらはにかんだ笑顔で何事もなかったかのように振る舞っただろう。
しかし槙野は黙っていられなかった。無力な自分を横に置いて美緒の涙の責任を他に求め、これまでの二人の関係を崩してしまうような引き返すことの出来ない一言を口にした。
「僕は今日・・美緒さんと企画部の島田課長がホテルから出てくるのを見てしまいました」