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第1章 寂しい体

槙野晶《まきのあきら》は、美緒の3歳下の同僚だ。
一昨年まで美緒と同じセクションにいたが、昨年の人事異動で別の所属に移った。

顎の尖った小さな顔に細いメタルフレームのメガネ。知的な印象だが少し神経質そうでもある。すらっと背が高く、180cm以上はあるだろう。女としては上背のある美緒より頭一つ分高い。

「仕事忙しいですか」
「まあね。槙野くんは？新しい職場で頑張ってる？」
「僕は美緒さんと別れてしまったのでつまらないです」