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月下の幻影
第1章 月下の幻影

「真琴っ……!」


ふわりと、身体が包み込まれる感触。



真琴は、青年に優しく抱き締められていた。



「僕は……真琴が生きててくれて……よかったよ」


真琴は青年の胸の中で、違う違うと首を横に振る。

「っ、わたしなんか……死んだ方がよかった……」

弟を守ることができるのならば、それで────

「そんなことない」

青年の、優しく力強い言葉に、真琴の涙はますます溢れるばかり。

「真琴が死んだら……僕が悲しい」

青年の白く美しい指が、真琴の目尻をそっと拭った。
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