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月下の幻影
第1章 月下の幻影
「だから、自分が死んだ方がよかったなんて、もう絶対、言わないで……」
青年は、一旦真琴と距離を作ると、彼女の顔を覗き込んだ。
「分かった?」
真琴はどきりとした。月光に照らされ、青年の美しい顔が視界いっぱいに広がる。
「……っ」
「真琴、返事は?」
「っ、……はい」
青年は、にこりと上品な笑顔を浮かべる。
「ん、よし」
青年はぽんと真琴の頭に手を乗せると、よしよしと頭を撫でた。
真琴は途端に恥ずかしい気持ちになる。
頭を撫でられるなんて、小学生ぶりだ。