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月下の幻影
第1章 月下の幻影

「もしもし……」

「真琴っ!? あぁ、やっと繋がった!」

「お母さん……」

置き手紙を残して、突然家出をし、一人旅を始めた真琴。旅の道中、幾度となくかかってくる母親からの電話に、苛立ちを感じつつも、どこか罪悪感も残っていた。

「突然、出ていって、ごめんなさい。……これから、帰る……から」

「……そう。じゃあご飯作って待ってるから」

「うん。ありがとう」

「あ、それと……真琴、あなたニュース見たわよね?」

「ニュース?」




真琴は母親との電話を終えると、すぐさまスマートフォンでニュースを検索した。


「……!」



〝三か月前、交通事故に巻き込まれた小学生の男児(8)
奇跡的に意識を取り戻す〟



「未来……っ、よかったね」

彼女の目から溢れたそれは、ぼたぼたとスマートフォンの画面に落ちていった。
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