この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
50センチの距離
第18章 アッラナポリターナ ー追憶ー
野田さんに聞かれて、思わず昔のことを思い出した。
俺が料理人になろうと思ったきっかけも、ナポリタンだ。
両親の仕事が遅くて、腹が減って。
ウチには男兄弟が3人。
兄貴は少し食に無頓着で。食えればいいっていうタイプ。
弟は美味しいモノはバクバク食べるけど、不味かったらいらねぇ、とワガママなヤツ。
食に無頓着な兄貴が弟の面倒見て何か作ってくれるなんてことはなく、少ない小遣いは漫画に消えて、おやつを買う金なんかなかった。
お菓子の買い置きも少しはあったけど、育ち盛りの男がそんなもんで足りる訳がない。
食えるもんを作り出したのは半ば必然だった。
インスタントラーメンは勿論、ピザトーストから始まって、チャーハン、焼きそば、そしてナポリタン。
上手くできたとき、弟は満面の笑顔になって、おかわり!と叫んだ。普段無表情な兄貴が、お、と驚いたように目を開いて、美味いな、と笑った。その時、ほら見ろ、美味いだろ、と優越感に浸ると同時に、美味いモノには人を笑顔にするチカラがあるんだ、と気づいた。
俺が料理人になろうと思ったきっかけも、ナポリタンだ。
両親の仕事が遅くて、腹が減って。
ウチには男兄弟が3人。
兄貴は少し食に無頓着で。食えればいいっていうタイプ。
弟は美味しいモノはバクバク食べるけど、不味かったらいらねぇ、とワガママなヤツ。
食に無頓着な兄貴が弟の面倒見て何か作ってくれるなんてことはなく、少ない小遣いは漫画に消えて、おやつを買う金なんかなかった。
お菓子の買い置きも少しはあったけど、育ち盛りの男がそんなもんで足りる訳がない。
食えるもんを作り出したのは半ば必然だった。
インスタントラーメンは勿論、ピザトーストから始まって、チャーハン、焼きそば、そしてナポリタン。
上手くできたとき、弟は満面の笑顔になって、おかわり!と叫んだ。普段無表情な兄貴が、お、と驚いたように目を開いて、美味いな、と笑った。その時、ほら見ろ、美味いだろ、と優越感に浸ると同時に、美味いモノには人を笑顔にするチカラがあるんだ、と気づいた。