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50センチの距離
第18章 アッラナポリターナ ー追憶ー
だけど、高校に進んでからも、料理人になる踏ん切りはつかなくて。
やりたい事は特になかったし、一番興味を持てるのは料理だったけど、じゃあどんなジャンルがいいのか、とか。本当に料理人でいいのか、こんな趣味レベルの料理しかしたことないのに料理が好きだからなんて言えるのか、とか。
色々グダグダ考えると、中々答えは出なかった。

兄貴は勉強が出来たから、高校も俺と違って公立の進学校だったし、大学も国立の外国語大学に進んだ。

俺はそれほどの頭がなくて、高校は公立だったけど商業高校で、とても国公立大学を目指せるレベルではなく。かといってウチの経済状況じゃあ私学の大学に行かせて貰える程の余裕はないのはわかってた。
まぁ、それについては親と膝付き合わせて話し合った訳でもないから、もしかしたら、どうしてもやりたいことがあって、それが私学でしか学べないことならば、親も否とは言わなかったかも知れない。ただ、なんとなく、就職するのを先送りにする、だけの理由で私立大に通いたいとは、俺は言えなかった。
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