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50センチの距離
第18章 アッラナポリターナ ー追憶ー
「ココは…食堂なんですか?」

「そうよ。あなたはイタリアに何をしに来たの?」

「…料理人になりたくて…まだイタリアンの修行するって決めたわけじゃないんですけど…本場の料理を食べてみたくて…」

「どのくらいいるつもりで来たの?」

「本当は、2週間…けど、金ないし…2、3日で帰らないといけないのかも…」

「………」

奥からまた親父が出てきて、テーブルにドン、と皿を置いた。

「mangiare (食え)」

「あ…えっと…タコ…?」

皿の中にはトマトソースっぽい赤いソースで煮込まれた小さいタコが入ってた。

「ポリペッティ アッフォガーティ(Polipetti affogati)っていってね。ナポリの伝統料理のひとつよ。オリーブオイルと、ワインでじっくり煮込んだ小さなタコなの。美味しいわよ。」

「あ…いただきます…」

フォークでタコを突き刺して食べてみた。
柔らかくて濃厚な旨味。

「美味っ…」

さっきのパスタもだけど、いろんな旨味が一気に押し寄せる感じ。

パスタもタコも、一気に平らげて、腹がいっぱいになった。

「あ、あの、ご馳走さまでした…幾らですか?…って今リラ持ってないんだけど…」

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