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50センチの距離
第18章 アッラナポリターナ ー追憶ー
「Sto chiedendo il prezzo(値段を聞いてるわ)」
「Non prendo soldi dai cani randagi(野良犬から金なんか取らないよ)」
「…ですって。」
「いえ、あの…何て言ったんですか…?」
「…お金は要らないそうよ。」
「…でも…」
「この人がいいって言ってるんだからいいのよ。美味しかったって言ってあげて。」
「めちゃくちゃ美味かったです…えっと…ボーノ!」
ガイドブックに載ってた単語で伝わるんだろうか…
でも親父はニヤッと笑って親指を立てて見せた。
「Certo(当たり前だ)」
「無愛想でごめんなさいね。でもいい人なのよ。」
なんも言ってないのに、こんな美味い料理を食わせてくれて、金も取らないなんてそりゃいい人だろうけど…
「Voglio essere un cuoco(料理人になりたいんですって)」
「Quanto è lungo?(いつまで居るんだ?)」
「2〜3settimane(2〜3週間?)」
ふん、と頷くと、俺の手を引いて厨房に連れて行かれた。目の前には山盛りの汚れた食器類。
「Lavaggio(洗え)」
「え?」
「ココで働く気なら洗えって言ってるけど、どうする?」
「…いいんですか?」
「ただ居るだけじゃ居心地悪いでしょ。ウチで働けばホテル代も食事代もかからないし、ナポリ料理は食べられるわよ。」
思ってもみない申し出で、地獄に仏ってこういうことかな、と思った。フランカが、本当に神様みたいに見えた。
「Non prendo soldi dai cani randagi(野良犬から金なんか取らないよ)」
「…ですって。」
「いえ、あの…何て言ったんですか…?」
「…お金は要らないそうよ。」
「…でも…」
「この人がいいって言ってるんだからいいのよ。美味しかったって言ってあげて。」
「めちゃくちゃ美味かったです…えっと…ボーノ!」
ガイドブックに載ってた単語で伝わるんだろうか…
でも親父はニヤッと笑って親指を立てて見せた。
「Certo(当たり前だ)」
「無愛想でごめんなさいね。でもいい人なのよ。」
なんも言ってないのに、こんな美味い料理を食わせてくれて、金も取らないなんてそりゃいい人だろうけど…
「Voglio essere un cuoco(料理人になりたいんですって)」
「Quanto è lungo?(いつまで居るんだ?)」
「2〜3settimane(2〜3週間?)」
ふん、と頷くと、俺の手を引いて厨房に連れて行かれた。目の前には山盛りの汚れた食器類。
「Lavaggio(洗え)」
「え?」
「ココで働く気なら洗えって言ってるけど、どうする?」
「…いいんですか?」
「ただ居るだけじゃ居心地悪いでしょ。ウチで働けばホテル代も食事代もかからないし、ナポリ料理は食べられるわよ。」
思ってもみない申し出で、地獄に仏ってこういうことかな、と思った。フランカが、本当に神様みたいに見えた。