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50センチの距離
第3章 シャンディガフ Le bar ombrage
喫茶店は14時で一旦閉め、束の間の休息をとる。
大抵は二階の自宅で仮眠を取る。

この辺はオフィス街だから、住むに便利、とはお世辞にも言えない。スーパーやドラッグストアなんかの生活用品を買う店は駅前まで行かないとないし、病院も遠い。唯一歯医者があるくらいか。
だけど、3階建ての小さなマンションで、元はオーナーの奥さんが喫茶店をしたい、という理由で建てた物件、店舗部分と、事務所として使うつもりで二階の一部をメゾネット式にして。
裏手に出入口と階段があって単身者向けのワンルームが1、2階に各2部屋、3階に5部屋ある。

マンションとしての需要はあるようで、現在空室はない。

が、元々オーナーの奥さんが経営する筈だった喫茶店が、オーナー夫婦の離婚により立ち消えになり、店舗部分が空いていた。
オーナーが俺の友達の親戚で、かねてから店をやりたいと話していた俺に、友達がいち早くその情報をくれて。
ちょうど物件を探していた俺には渡りに舟、て感じで。
オーナーも別れた元嫁がやるはずだった店舗部分なんて思い入れもなく、家賃も相場より下げてくれて。
無事、俺は自分の根城を構える事が出来た。
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