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50センチの距離
第23章 クリスマスケーキ
翌日の25日。

朝9時過ぎに里見がやってきた。モーニングの時間帯も過ぎて、ちょうど客がひけた後。

「おはよ、ショウさん。」

「おぅ、珍しいな、こんな時間に。コレから仕事?」

「うん、今日は遅出なの。昨日ポットパイご馳走さまでした。」

「あぁ、遅くまで忙しかったんだろ。」

「そりゃあ年イチの書き入れ時ですから。で、お礼にケーキ持ってきたの。」

「売れ残り?」

「失礼な!オーダー断ったの、申し訳ないと思ってキープしといたの。今日も一応クリスマスでしょ。でもクリスマス仕様しちゃうとそれこそ売れ残り感出ちゃうから、それは敢えてしてないから。」

箱を開けてみると、半球型というのか、お椀を伏せたような形の、一人前の小さなケーキが1個。
艶のあるチョコレートでコーティングしてあって、少し金粉が振ってある。

「…コレ一人前、だよな…」

「そうだよ?ひとつあれば充分でしょ。ショウさん甘いもん食べないし、野田さんに食べさせたいだけなんだから。」

「………コウスケに聞いたのかよ…」

「何が?ショウさん見てればフツー分かるって。」
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