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第25章 缶ビール

酔い潰れた人間の対処法は知ってる。
バーやる前も居酒屋で散々バイトしてたし。えーと、と遠い記憶を引っ張り出す。
泥酔時の介抱の仕方は…まず、反応と呼吸を確認する。
意識がなければ病院に搬送。反応があって正常に呼吸していれば、横向きに寝かせて気道を確保して、着衣を緩める。男ならベルト。スーツを着てればネクタイとワイシャツのボタンも上の方を外す、んだけど…俺、女のコの介抱ってしたことない…

涼子はザルだから介抱する以前にむしろ俺がされる側。その前に付き合って来たコも泥酔することってなくて。
職場では男性客はよくしたけど、女性の場合は一緒に来てる仲間内、若しくは女性スタッフがすることになってた。
まぁ、一応、身体触るし…で、この店始めてから泥酔した一人客は居なかった…大抵連れが居て、仕方なしで、連れて帰ってくれる。

「野田さん、」

と呼んで肩をゆすると、

「んー…」

と反応はする。呼吸もちゃんとしてる。でも会話は成立しない。
コレじゃあタクシーに乗るのも無理だろうな。
運転手も嘔吐の可能性が高い、住所が言えるかどうかも怪しい客を一人で乗せるのは嫌がるだろうし。
俺は車持ってないから送ることもできないし、そもそもナビができなきゃ家だってわからない。